権力者は民衆を騙す方法を懸命に学ぶが、民衆は権力者に騙されない方法をほとんど学ばない

怠惰とかいう話ではなく、民衆をより巧妙に騙す者が権力を得るという構造、騙された民衆は騙した張本人よりも手頃なはけ口を望むという性質に起因する話です。
まあ、大阪都構想の件で言えば、敗者は敗北から学ぶが、勝者は勝利から学べない、とも言えますが。

国政への影響、改憲国民投票

筆者は、大阪市住民投票は、安倍政権にとっては憲法改正国民投票の予行演習だったのではないか、と思っています。それは直接投票により結論を出す、ということだけではなく、権力を持ち、政治に責任を負っている側が積極的に虚実ない交ぜの「バラ色の未来」を描く政策宣伝、多額の広告資源の投入、金(広告料)と恫喝による報道機関の押さえ込みなどで、国民の意思を「買う」ことができるかどうかの実験だったのです。その目論見が上手くいかなかったことは、安倍政権が掲げる憲法改正国民投票の実施にも少なからず影響を与えるでしょう。そして、改憲課題で安倍首相の閣外協力者だった橋下氏が(同氏の言葉を信用するなら)政界を去ることでもブレーキが掛かるはずです。一方、改憲派住民投票の失敗から教訓を引き出し、新たな作戦を考え始めるのも必定です。筆者もそうである日本国憲法を擁護しようとする側も、住民投票から教訓を引き出し、憲法を守るためにはどのような議論が必要なのか、検討が必要でしょう。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/watanabeteruhito/20150518-00045808/

都構想に関しては、それ自体よりも上記引用の件に私としては興味を持っています。
現実問題として、もし橋下勢力が勝っていたら、安倍政権による憲法破壊はまず確実だったわけで、今回の住民投票の結果はその動きを半歩は止めたと思います。しかし、半歩に過ぎず、渡辺弁護士の指摘通り、すぐに安倍政権は何らかの手を打ってくるでしょう。
それを阻止できるか、というと個人的には非常に不安な思いです。

住民投票の結果は都構想反対が勝ちましたが、票数はほぼ拮抗、薄氷の勝利に過ぎません。勝った勝ったと浮かれていれば、安倍のより巧妙な手口の前に簡単に敗北するでしょうね。
勝利から学ぶのは難しい上に、今回示したような保革共闘が維持できるかも疑問です。

前方の大敵に対峙するよりも隣の友軍の身だしなみの方が気になって仕方がない、というのはよくある話なわけで。