来年の参院選に向けての方針と展望

参院議席

平成27年9月14日現在

               全体  改選  改選  改選  非改選 非改選 非改選
会派名             議員数 比例 選挙区 合計  比例  選挙区 合計 
自由民主党           113(16) 11(4) 37(3) 48(7) 18(5) 47(4) 65(9)
民主党・新緑風会        58(9) 15(1) 26(4) 41(5) 7(3) 10(1) 17(4)
公明党             20(3) 6(0) 3(1) 9(1) 7(1) 4(1) 11(2)
維新の党            11(0) 5(0) 0(0) 5(0) 4(0) 2(0) 6(0)
日本共産党           11(4) 3(1) 0(0) 3(1) 5(1) 3(2) 8(3)
日本を元気にする会・無所属会  7(1) 2(0) 1(0) 3(0) 3(0) 1(1) 4(1)
次世代の党           5(1) 1(0) 1(0) 2(0) 2(1) 1(0) 3(1)
無所属クラブ          4(1) 0(0) 2(0) 2(0) 1(0) 1(1) 2(1)
社会民主党・護憲連合      3(1) 2(1) 0(0) 2(1) 1(0) 0(0) 1(0)
生活の党と山本太郎となかまたち 3(1) 1(1) 1(0) 2(1) 0(0) 1(0) 1(0)
新党改革無所属の会      2(0) 1(0) 0(0) 1(0) 0(0) 1(0) 1(0)
各派に属しない議員       5(1) 1(0) 2(0) 3(0) 0(0) 2(1) 2(1)
合計              242(38) 48(8) 73(8) 121(16) 48(11) 73(11) 121(22)
欠員              0 0 0 0 0 0 0
総定数             242 48 73 121 48 73 121
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/189/giinsu.htm

自公議席数は133議席、うち来年2016年改選は57議席、非改選76議席です。
現実問題として、2016年の改選で“ねじれ状態”が発生するには、自公の当選議席数が45議席以下になる必要があり、可能性としてはかなり低いと言えます。次世代・維新橋下派が事実上の閣外与党であることを考慮すると、条件はさらに厳しくなります*1。少なくとも、自公が現状の改選57議席から12議席以上減らす必要がありますから、2016年の参院選にはあまり期待できないでしょうね。
改選121議席中、自民公明合わせて45議席を割る、なんてことはなかなか考えにくいでしょう。2013年の参院選民主党は17議席という惨敗を喫していますが、共産党をはじめとする非自民候補の受け皿があったことを考えると、自公がそこまで惨敗するとは思えませんし。

もっとも今回の安倍の違憲法案強行採決に加担した議員、特に改選議員らには落選してもらうのが当面の狙いであることは変わりません。
改選議席中の選挙区選出については、自民党37議席山崎正昭脇雅史を含めると39議席)、公明党3議席
この40人(41人)については、徹底的にネガティブキャンペーンを張って落選させることがとりあえずは重要ですね。
ターゲットとしては選挙区選出の議員らに絞るのが効果的でしょう。
というわけで名前と選挙区をさらしておきます(戦争法に賛同した次世代・元気・改革*2を含めて)。

自分の居住地選出で、来年選挙の洗礼を受ける違憲法案強行採決に賛同した議員の名前をちゃんと覚えておきましょう。

No. 選挙区 議員名
1 北海道 自民 長谷川 岳
2 青森 自民 山崎 力
3 宮城 自民 熊谷 大
4 秋田 自民 石井 浩郎
5 山形 自民 岸 宏一
6 福島 自民 岩城 光英
7 茨城 自民 岡田 広
8 栃木 自民 上野 通子
9 群馬 自民 中曽根 弘文
10 埼玉 自民 関口 昌一
11 千葉 自民 猪口 邦子
12 東京 自民 中川 雅治
13 神奈川 自民 小泉 昭男
14 新潟 自民 中原 八一
15 富山 自民 野上 浩太郎
16 石川 自民 岡田 直樹
17 福井 自民※ 山崎 正昭
18 長野 自民 若林 健太
19 岐阜 自民 渡辺 猛之
20 静岡 自民 岩井 茂樹
21 愛知 自民 藤川 政人
22 京都 自民 二之湯 智
23 大阪 自民 北川 イッセイ
24 兵庫 自民 末松 信介
25 和歌山 自民 鶴保 庸介
26 島根 自民 青木 一彦
27 広島 自民 宮沢 洋一
28 山口 自民 江島 潔
29 香川 自民 磯崎 仁彦
30 愛媛 自民 山本 順三
31 徳島 自民 中西 祐介
32 福岡 自民 大家 敏志
33 佐賀 自民 福岡 資麿
34 長崎 自民 金子 原二郎
35 熊本 自民 松村 祥史
36 宮崎 自民 松下 新平
37 鹿児島 自民 野村 哲郎
38 沖縄 自民 島尻 安伊子
1 埼玉 公明 西田 実仁
2 東京 公明 竹谷 とし子
3 大阪 公明 石川 博崇
1 鳥取 次代 浜田 和幸
1 東京 元気 松田 公太
http://democracy.minibird.jp/

戦争法廃止に向けて

法廷闘争は時間がかかりますので、とりあえずここでは置いておきます。政権交代で戦争法執行停止や廃止法成立の可能性を検討してみます。
2016年の参院選では自公が後退する可能性は高いと思いますが、ねじれにまでは至らないでしょうね。また、そういう状況下で衆院選を行う可能性はさほど高くありません。あり得るとしたら前回同様、消費税増税延期を人質にした選挙くらいです。
ちなみに仮に2016年参院選でも自民党が圧勝するような状況になった場合、今回の戦争法案国会の報復として国内メディアや言論界から自民党を批判する勢力が一掃されるでしょうね。この可能性も少なくありません。その後、民主主義が回復するまでには少なくとも四半世紀の歳月と多大の犠牲を必要とするでしょう。

まあ、2016年参院選では自公が後退する可能性の方がやや高いと思いますので、その場合について検討を続けます。
後退したとは言え、衆参両院での自公過半数は変わりませんから、安倍のやりたい放題は続きます。せいぜい改憲だけは回避できる程度でしょう。2017年か2018年になって衆院選となった場合、野党が自公から政権を奪回できるかが鍵です。奪回できても、今度は参院過半数を抑えている自公の妨害が問題です。もっとも2019年参院選でほぼ確実に自公が議席数を減らすでしょうから、ここでようやく非自民政権による衆参過半数が成立するわけです。
既に戦争法成立から4年経っている状況で、執行停止や廃止法成立に持っていく必要がありますが、それまでに海外派兵が行われ撤退が困難になっている可能性もあります。自衛隊の海外派兵を前提として計画を立てているアメリカの横槍が入る可能性もあります。

鳩山政権時の普天間問題で本土有権者は沖縄と鳩山政権をいとも簡単に切り捨てましたから、野党自民党の妨害行為とアメリカの工作を前に日本の市民がどれほど抵抗するかはあまり期待は出来ません。
現実的に自衛隊が海外派兵され、困窮者が経済的徴兵制兵站業務に動員され多数の犠牲者を出し、派兵された兵士による戦争犯罪がメディアに暴露され、その上でなお大政翼賛的でない民主的な国会と情報統制に抗するメディアの行政監視が機能していれば可能性はあるでしょうが。
もうひとつ、日本市民自身に、政府批判を受け止め批判できるだけの健全性が残っていれば、という条件もあります。

最後にもうひとつ懸念がありました。戦争法を廃止できる政権が誕生した場合、自衛隊がクーデターを起こす可能性です。

徴兵制 (岩波新書 黄版 143)
(P191-192)
 「職業的な将校団をもった長期服役制の軍隊は、左翼からの影響にたいしてはほとんど感染することがないが、右翼から発生するファシスト的影響にたいしては著しく感染しやすいように思われる。その原因は次の諸事実のうちに求めることができる。その第一は、将校団の性格であって、それは結局、将校団をして保守主義と財産権の番人たらしめるのである。その第二は、かれらの政治的利益が重大な脅威にさらされたり、あるいはかれらの政治的熱情が昂揚したときに、武力を発動して一党一派に支持をあたえたがるという将校団の通有性である。そしてその第三は、将校団が兵隊にたいして確率しているところの優越的地位である。
合憲的手段によって社会の構造改革の道を進もうとする革新政権は、もしも上述のタイプの軍隊を存続させておくならば、おそらく行動の自由を封じられることになろう。
さらにまた、ファシズムへと凝集する政治的幻滅や経済的不況の暴風と対決苦闘中の民主主義体制が、自己の軍隊が体制の防衛者ではなかったという事実を、余りにも手遅れになって発見することもありうるであろう」

今の自衛隊にもあてはまる警句です。

*1:戦争法に賛成した次世代改選議席数は2議席、元気が2議席、改革が1議席

*2:改革の荒井広幸比例区