産経新聞他国教科書の記載への歴史修正主義的介入を煽る

この件。

慰安婦問題 米公立高「性奴隷」表記か 加州、教育指針7月策定へ

産経新聞 5月23日(月)7時55分配信
 【ロサンゼルス=中村将】米カリフォルニア州の公立高校で2017年から導入される歴史・社会科学のカリキュラムで、旧日本軍の慰安婦が「性奴隷」と表記される公算が大きくなっていることが州教育局の資料で分かった。教育局が昨年12月に公示したカリキュラム改正案の慰安婦に関する記述は一部が修正・削除される可能性があるが、「性奴隷」表記は7月の最終決定を控え、残ったままだ。
 教育の指針を定めたカリキュラムに慰安婦問題が盛り込まれるのは、州レベルでは初とみられる。すでに他州でも韓国系団体などがカリキュラム改正などを働きかける動きがあり、カリフォルニア州での決定が全米に影響を及ぼすのは必至の情勢だ。
 慰安婦の記述は10年生(日本の高1〜高2に相当)の項目に含まれる。改正案では「性奴隷の、いわゆる慰安婦は戦前、戦中に領土を占領した日本軍に連れて行かれた」「慰安婦は制度化された性奴隷制や、20世紀最大の人身売買の例として教えることができる」などと記述された。
 こうした記述に反対する同州在住の日本人や日系人らが教育局に対し、メールなどで再考を求め、今月上旬の時点で、「20世紀最大の人身売買」との表記は削除、「性奴隷」表記も一部は別の言葉に修正することがそれぞれ検討されているが、「制度化された性奴隷制の例として教えることができる」との記述は依然として残っている。
 日本政府は慰安婦について「性奴隷」との表現や強制連行を明確に否定しており、正反対の記述がなされる懸念が広がっている。
 教育局では今月19、20の両日、専門家らによる会議や公聴会を開催。今後も検討を続けるが、7月中旬には正式に策定される予定。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160523-00000042-san-n_ame

2015年3月に安倍首相が従軍慰安婦を「人身売買の犠牲者」だと認め、2015年12月の日韓政府間合意で「日本政府は責任を痛感している」*1と国際社会に公言し、韓国政府と合意したわけですから、それが米国の教科書に載るのはむしろ当然でしょう。現在の日本に対してはむしろ肯定的な文脈での引用のはずですが、そもそも慰安婦問題の存在自体を認めたくない産経新聞としてはそれも許せないのでしょうね。内心、産経と同レベルで否定している安倍政権にとってもそれは同じなんでしょう。
欧米では、性的人身売買の被害者は性奴隷と認識されています*2から、アメリカの教科書が慰安婦について記載するにあたって性奴隷と表現するのは当然です。
産経新聞は安倍政権と連携して在米日本人右翼を煽動して米国の教科書記載に介入を繰り返していますが、近隣諸国条項内政干渉だとか主張してた連中が比較にならないほど醜悪な介入行為を行っているわけですから呆れるほかありません。

そもそもアメリカは2007年下院決議で「日本政府による強制軍隊売春制度である「慰安婦」は、集団強姦・強制流産・恥辱・身体切断・死亡・自殺を招いた性的暴行等の残虐性や規模面においても、前例のない20世紀最大の人身売買の1つだ。」*3と言ってるわけですから、日本大使館経由の圧力や地方自治体に対するSLAPPヘイトスピーチといった醜悪な日本人右翼の工作活動に全面的に折れるというのはちょっと考えられません。尤も、アメリカが折れなければ折れないで、その場合は、中国や韓国の反日工作扱いするだけでしょうから、産経は楽な商売ですよね。

ところで、安倍政権がアメリカの教科書記載に介入するというのは、日韓政府間合意に抵触すると思うんですが、だから産経に嫌韓工作を委託しているんですかね。

(3)日本政府は上記を表明するとともに,上記(2)の措置を着実に実施するとの前提で,今回の発表により,この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。
 あわせて,日本政府は,韓国政府と共に,今後,国連等国際社会において,本問題について互いに非難・批判することは控える。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001664.html