国民の悲鳴を聞いてくれという質疑での言及を嫌いな言論機関に対するテロの煽動と同列に扱う時点でどうかしている

2016年2月29日の衆議院予算委員会で「日本死ね」に言及した山尾議員ですが、もちろんこれには文脈があります。
「子育て世代の悲鳴」として紹介し、「確かに言葉は荒っぽいです。でも、本音なんですよ。本質なんですよ。」「今社会が抱えている問題を浮き彫りにしている」と説明したわけで、山尾議員の言葉として「日本死ね」と言ったわけではありません*1

その点で足立議員が自分の言葉として「朝日死ね」と言ったツイートとは全く意味が異なります。

朝日新聞という特定の企業、それも右翼によるテロ行為で死者を出している経験の企業に対して、右翼政治家が「死ね」と言い放つ行為と、日本という不特定の対象に対して「死ね」というほど苦しんでいる人がいると紹介する行為とが、等価に思えるなら、そう思う人の方がどうかしているとしか言いようがありませんし、前者(足立議員)の方がマシだと考えるようなら、もう頭がおかしいといわざるを得ません。

ちなみに「前者(足立議員)の方がマシだと考える」論者としては、梶井彩子氏がいます。
例えば、こんな感じ。
「死ね」発言に免罪符を与えたのは誰か(2017年11月14日 20:00、梶井 彩子)

もちろん、朝日が死んでも多くの人の生活に影響はない一方、日本が死ねば明日から生活に支障をきたす、だから「日本死ね」の方がより罪深い、という違いはある。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171115-00000069-san-pol

正気を疑うレベルの記述ですね。

なんで、右翼議員のテロ煽動発言の責任までリベラルがとらなければならないのかさっぱりわかりませんが、ネトウヨ論者の脳内ではそんな感じの謎回路が成立しているようです。




○山尾委員 民主党山尾志桜里です。
 安倍総理、この予算委員会で、私は二回、総理と待機児童問題について、子育て支援について議論してきました。
 総理は、待機児童がふえたことをうれしい悲鳴だと言い、私は、その総理の発言は理屈の面でも感情の面でも不適切だ、正面からこの問題と向き合って子育て予算を優先していくべきだ、こう主張してまいりました。きょうは、この議論の第三弾をやりたいと思います。
 総理のこれまでの私に対する答弁、あるいは人口減少局面なのになぜ待機児童が増加したのか、子育て世代の声はなぜ政治に反映されないのか、こういうこの国の最大の課題をめぐって総理の基本的な認識を伺っていきたいと思います。
 待機児童の当事者となってしまった一人のお母さんが、ネット上で、保育園落ちた、日本死ね、こういう投稿をしました。子育て世代の悲鳴を届けました。すさまじい勢いでシェアされて、複数のテレビメディアや雑誌でも大きく取り上げられて、大反響を呼んでいます。
 総理、この投稿について、もしかして御存じありませんか。

http://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001819020160229017.htm

○山尾委員 総理、この投稿ですけれども、先日の中央公聴会で与党が推薦された白石公述人が、この場でこの話は出しております。総理、中央公聴会有識者の議論は本当に聞いておられないんですね。
 それで、今、うれしい悲鳴、待機児童についてうれしい悲鳴と言っていないと総理はおっしゃいました。私、ここにフリップを用意しています。これを読んだ、これを今見ている国民の皆さんが、総理はうれしい悲鳴と言ったのかどうか、判断は国民の皆さんに委ねたいと思います。
 一方、私、今総理に紹介した……(発言する者あり)ちょっと静かにしていただけますか。総理に紹介をしたこの当事者の悲鳴を、やはりちゃんと国民の皆さんにも知ってもらいたい、そしてこの予算委員の皆さんにも見てもらいたい、こう思って、フリップと資料を準備しましたよ。でも、与党の皆さんが、これを委員の皆さんに配ってもいけない、国民の皆さんにフリップで見せてもいけない、そういうことですので、私は、本当に安倍政権というのは、都合の悪い声は徹底して却下する、都合の悪い声は徹底して無視する、本当にそういう安倍政権の体質の象徴となる対応だと思いました。
 でも、私がこの場で発言をすることまで与党の皆さんは禁止されないと思いますので、この場で御紹介をさせていただきます。国民の皆さん、フリップに出せませんけれども、聞いてください。
 保育園落ちた、日本死ね。何なんだよ、日本。一億総活躍じゃねえのかよ。きのう見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ、私、活躍できねえじゃねえか。子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに、日本は何が不満なんだ。子供産んだはいいけど、希望どおりに保育園に預けるのほぼ無理だからって言ってて子供産むやつなんかいねえよ。まじいいかげんにしろ、日本。
 確かに言葉は荒っぽいです。でも、本音なんですよ。本質なんですよ。だから、こんなに荒っぽい言葉でも、共感する、支持する、そういう声が物すごい勢いで広がって、テレビのメディアも複数全文を取り上げ、複数の雑誌も取り上げて、これは今社会が抱えている問題を浮き彫りにしている。それを、与党の公述人もそうやっておっしゃったんですよ。
 一方、総理は、こういう発言、うれしい悲鳴と。これがギャップなんですよ。
 でも、さっきの総理の発言を聞いて、言っても無駄だと正直思いましたが、それでも、総理、今私が紹介した待機児童の当事者となった方の声、お母さんの声、そしてそれに対して広がる共感の声、これを知った上でもこの発言を撤回されないのですか。どうですか。

http://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001819020160229017.htm

*1:ちなみに、川田龍平議員らも同様の趣旨で「日本死ね」に言及しています