“何でも反対の野党”よりも“何でも賛成の野党”の方が凋落著しかったりする

2017年4月10日に民進党に離党届を出したものの受理されず、4月25日に除名された長島昭久衆院議員が、2年前にこんなことを言っていました。

2015.6.16 19:04更新

民主・長島氏が党批判 労組依存、何でも反対路線…「民主は目を覚まさなければ消えゆくのみ」

 民主党長島昭久元防衛副大臣は16日までに民間シンクタンク「国家基本問題研究所」(櫻井よしこ理事長)のホームページに「目を覚ませ、民主党!」と題した寄稿を掲載した。
 党の労組依存体質を批判し、安全保障法制の国会審議では「万年野党の『何でも反対』路線がますます先鋭化している」と警鐘をならした。
 長島氏は、民主党の現状について「『改革政党』と見なす国民はほとんどいまい」と分析。「改革路線は維新の党にすっかりお株を奪われた」としている。
(略)

http://www.sankei.com/politics/news/150616/plt1506160029-n1.html

“何でも反対の野党”では駄目だ、というのは巷間よく言われるフレーズですが、実際には民進党などは内閣提出法案の8割程度で賛成し、反対は2割程度に過ぎません。この“何でも反対の野党”という事実に反するレッテルはマスコミでも多用され、結果として野党に対するネガティブなイメージを醸成する役割を果たしてきたと言えますが、そんな“誤報”の責任は放置されています。

第193回国会の政府提出法案の衆議院採決における民進党の賛成率は79.4%

成立した政府提出法案63本中50本について民進党は賛成していますので賛成率は8割程度になります*1
2年前の民主党に対して、当の民主党議員である長島氏自らが「万年野党の『何でも反対』路線がますます先鋭化している」などと言ってたわけですが、自らの所属する政党がどの程度賛成したのかすら知らないのか、自民や右翼に媚を売ったのか、民主党内の権力争いのための便利なワードとして考えなしに使ったのか、とにかく誠実と熟慮の結果としての発言ではないことだけは確かでしょう*2

“何でも賛成の野党”日本維新の会の賛成率は96.8%

同じ第193回国会の政府提出法案の衆議院採決において、日本維新の会は成立した政府提出法案63本中61本に賛成しています。政府提出法案をザルの如く通した、と言っても過言ではないでしょう。是々非々どころか「是」ばかりです。
野党の重要な役割として法案のチェックがあるわけですが、維新はその役割を放棄しているとしか言いようがありません。実際、報道で維新が目立つのは民進党共産党を誹謗しているところばかりです。

維新と民進党、2015年6月と2017年6月の支持率

この間に離合集散があったことは確かですが、2015年6月当時の維新の党を継承する日本維新の会、2015年6月当時の民主党を継承する民進党というくくりで政党支持率を見てみるとこうなっています。

党名 2015年6月 2017年6月 変化量
民主党民進党 9.4% 7.9% -1.5%
維新の党・維新の会 2.9% 1.2% -1.7%
  • JNN
党名 2015年6月 2017年6月 変化量
民主党民進党 7.6% 7.3% -0.3%
維新の党・維新の会 2.9% 1.6% -1.3%
  • 産経・FNN
党名 2015年6月 2017年6月 変化量
民主党民進党 10.5% 8.3% -2.2%
維新の党・維新の会 7.0% 3.5% -3.5%

NHK、JNN、産経・FNNの3つの世論調査の結果を見る限り、同等ないし微減の民進党に対して、維新の支持率は半減しています。
長島氏は2年前に「改革路線は維新の党にすっかりお株を奪われた」などと言ってたわけですが、何でも賛成の維新の支持率低下の惨状を見る限り、与党に媚を売って現状以上に政府提出法案に賛成しても民進党の支持率上昇につながるとは到底思えず、むしろ今以上に下がってたんじゃないですかね。

少なくとも今でも維新を「改革政党」などと見てる人はまずいないんじゃないでしょうか。
政府提出の法案に盲判を押すだけの野党なんて、何の存在価値もありませんからねぇ。

*1:衆議院のみ、参議院採決については未確認

*2:ちなみに、戦争法案審議の際に、民主党のたしか細野議員が“民主党は対案を示していない”と自党批判を展開していましたが、実際には海上警備法案など自民の戦争法の対案に相当する法案を出しています。