黒人ドライバーには1キロオーバーでも罰金刑を科すが、白人ドライバーなら30キロオーバーまでは見逃すという対応を認めるの?という話。

警察による速度違反の処分に対して不服申立をしてきたドライバーが10人いたとしましょう。
そのうち9人は黒人で、制限速度からの超過分は1~10キロでした。
残り1人は白人で、制限速度からの超過分は40キロでした。

さて、あなたが黒人差別に反対かつ公正を旨とする検察官だった場合、これをどう処理しますか?

公正であらんとすれば、たとえ黒人であっても、それが1キロオーバーに過ぎなくても、違反は違反であると考え不服申立を認めず起訴するというのが、正しいように思えますね。黒人差別に反対であっても、是々非々で判断するという態度なわけですから。

しかし、警察が処分を下している段階で黒人ドライバーの場合だけ1キロオーバーでも違反切符を切り、白人ドライバーの場合は超過30キロ未満なら見逃すという対応をとっていたとしたらどうでしょうか?
つまり、警察の取締りの段階で、黒人と白人で異なる基準で処分を下すというダブルスタンダードが行われていた場合です。

その場合でも、黒人ドライバーが速度違反をしたという事実は確かに存在します。

さて、あなたが黒人差別に反対かつ公正を旨とする検察官だった場合、これをどう処理しますか?
警察が人種差別に基づく不適切なフィルタリングを行っていたとしても、やはり速度違反は速度違反だとして1~10キロ超過の黒人9人と40キロ超過の白人1人の10人全員を起訴しますか?

私だったら、黒人9人に対しては不服申立を認めて処分を取り消しますね。
1~10キロ超過でも違反は違反ですが、取締りの最初の段階で不適切なフィルタリングが行われていた以上、そこで抽出された集団だけを見て公正さを発揮しても、全体として公正にはならないからです。
白人ドライバーの超過30キロ未満の違反が見逃されていた以上、黒人ドライバーの超過30キロ未満の違反も同様に不問にしなければ、公正とはいえない、と私は考えます*1


朝日新聞のnoindexの件もこれと同じと考えています。

ネトウヨや産経や自民党朝日新聞だけを目の敵にして他社なら不問に付されたような些細な問題*2まで狙い打ちにして煽り立て、話題になった事案だけを見て、したり顔で“朝日の対応は問題だ”などというのは、警察にフィルタリングされた後の結果だけしか見ずに“1キロオーバーに過ぎなくても、違反は違反である”として起訴する検察官と同じです。

そのような検察官は、自分は差別に加担せず公正である、是々非々で対応していると思い込んだまま、差別に加担しているんですけどね。



*1:あと不服申し立てをしなかった超過30キロ未満の違反者についても処分の取り消しを行い、警察に対しては違反切符を切るにあたって人種差別をしないように伝えることも必要ですが、ここはあくまでたとえ話なのでその辺は省略してます

*2:個人的にはnoindexが問題だとも思いませんが。