糸魚川の乳児殺害事件に関する件

以前、乳児2人を殺害した実行犯である母親に懲役4年の判決(2018年2月)が出たことに対して、やたら非難する論調がありました。さすがに2人殺害しているのに執行猶予を当然視するのはおかしいと思い、「2件の殺人で懲役4年なら十分な温情判決だと思うが」という記事を書いています。

当時、“容疑者を性的虐待していた義父は無罪か”みたいな意見まであり、私は上記エントリー中で「義父(67)=殺人と死体遺棄の罪で起訴」という記事の記載から誤りであることを指摘しました。

母親への判決から4ヵ月後の2018年6月27日、母親の義父にも判決が下っています*1

糸魚川乳児殺害 養父に懲役8年判決「人命軽視で身勝手」

2018.6.28 07:01
 養女との間に生まれた乳児を出産直後に殺害、遺棄したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた糸魚川市歌の無職、中村栄志被告(67)の裁判員裁判の判決公判が27日、新潟地裁(山崎威裁判長)で開かれた。判決で山崎裁判長は「人命を軽視する態度は甚だしく、極めて身勝手というほかない」として、中村被告に懲役8年(求刑懲役12年)の実刑判決を言い渡した。
 判決などによると、中村被告は平成26年7月上旬ごろ、自宅の2階寝室で、同居していた養女(31)=懲役4年の実刑判決が確定=に「泣く前にやってしまえ」などと乳児の殺害を指示。その後、遺体の遺棄に関わったとしている。
 これまでの公判で、中村被告は起訴内容を全面的に否定しており、弁護側も乳児の遺体が発見されていないことや、養女の証言が信用できないとして無罪を主張していた。
 争点になっていた養女の証言について、判決では「具体的で真に迫っており、被告人に罪をなすりつけるために虚偽の供述をしているとは考えにくい」などと、中村被告が乳児の殺害を指示したことを認定した。
 裁判後、弁護側は「結果的にこちらの言い分のほとんどが受け入れられず、遺憾に思う」と報道陣にコメントした。今後については中村被告の意向を聞いた上で、控訴も検討するという。

https://www.sankei.com/region/news/180628/rgn1806280041-n1.html

義父は直接手を下していなかったことから無罪を主張したようですが、養女(殺害された乳児の母親。殺人で有罪。懲役4年確定)の証言が採用され、殺害の指示があったと認定されています。
ただし、刑期は求刑12年に対して判決では8年とされました。
個人的な感覚では短いような気がします(判例ではそうではないのかもしれませんが未確認)。直接手を下していないことが影響したのかもしれませんがよくわかりません。

殺害を実行した養女は懲役4年の一審判決を受け入れ確定していますが、義父側は控訴しました。控訴審の行方に関する報道は見つけられませんでしたが、傍聴していた方のブログによると、高裁でも控訴棄却とされたようです(2018年12月26日)。

本日の開廷 12月26日

【高裁刑事】
・13:50〈殺人〉中村栄志 判決
控訴棄却

http://jazzytokyo106.blogspot.com/2018/12/1226.html

最高裁で覆ることも考えにくいですから、おそらくこれで確定するでしょうね。



*1:この記事についたブクマは2019年5月26日時点で1つのみ。乳児2人を殺害した実行犯である母親(義父から見て養女にあたる)に性的虐待を行っていた義父に対する怒りはあまり持続しなかったようで複雑な思いです。