ブコメの件1

2件の殺人で懲役4年なら十分な温情判決だと思うが 」についたブコメの件。
元記事は情状を酌量すべき事件だとは思うが執行猶予が当然だとは思わない、という趣旨です。懲役4年というのが既に酌量された結果ですし。

hawaruna 二人以上殺して執行猶予ついた事件は平成になってからでも何件かある。 何故彼女はつかなかったのか https://www.senshu-u.ac.jp/School/horitu/publication/hogakuronshu/102/iwai.pdf
2018/04/04

http://b.hatena.ne.jp/entry/scopedog.hatenablog.com/entry/2018/04/02/080000

そのURLの「識別表(1) 実刑と執行猶予との区分(平成以降)」によれば、2人以上「殺害」したケースは16件で執行猶予がついているのはそのうち2件ですね。そして、そのURL先で検討されているのは「地方裁判所における「女性による殺人罪の確定判決」360ケースの内から無罪判決および量刑因子の客観化に困難が見られた事例を省いた354ケース」ですが、そのうち79件は「未遂」事件と書かれていますね。
2人以上「殺害」したケースで執行猶予がついている2件が、既遂事件なのか未遂事件なのかは明示されていないのでわかりませんが、2件とも未遂事件である可能性が極めて高いと思いますがいかがでしょうか?
なお、殺人事件の判例を列挙しているサイトで2005年以降の判例を見ても、2人以上殺害して執行猶予がついている事件は見当たりません。
また、2017年の事件ですが、女性が2人の子どもと無理心中を図ったものの思いとどまった事件では懲役3年執行猶予5年の判決が出ていますが、これは未遂事件で子どもは2人とも助かっています。
和歌山)2児と無理心中図った29歳の母 猶予付き判決(金子和史2017年12月28日03時00分)
「二人以上殺して執行猶予ついた事件は平成になってからでも何件かある」という内容自体の真偽を確認する必要があるかと思います。

seven_cz この被告のように自分の人生を奪われ、そのせいで引き起こされた殺人の罪でさらに人生を取り戻せないならば、従来の判例の範疇に収まらない新たな判例で、それが不可能ならば新たな立法で、対処すべきではないのか。
2018/04/04

http://b.hatena.ne.jp/entry/scopedog.hatenablog.com/entry/2018/04/02/080000

まあ、心神喪失者等医療観察法の対象を拡大して被虐待者である加害者の更生と治療を図るような対策は必要かと思いますね。ただ懲役4年で「人生を取り戻せない」とまでは思いませんし、出所しても33歳くらいです*1ので、贖罪の上で新たな人生を始めるというに遅くはないかと。
気になるのは、服役期間が彼女にとって有意義な贖罪になるかという刑務所の環境と更生方針に関する点と、性的虐待を受けてきたことと罪を犯したことに罪悪感によって受けている心理的な傷害に対して適切な治療を受けられるかという点で、その辺については繰り返しになりますが、対策は必要でしょうね。

nenesan0102 同じ目に遭ったら、このようなブログは書けるのかなと思った
2018/04/04

http://b.hatena.ne.jp/entry/scopedog.hatenablog.com/entry/2018/04/02/080000

出生直後に殺害された子どもたちにはブログを書く機会もありませんが、そういう視点は無いんですか。
そして自分が子どもを殺害したとしたら、それが他者から支配された結果であったとしても自責の念に苛まれるでしょうし、罪を償いたいと自首しても裁判で執行猶予で釈放されたら、そこからどうしていいかわからなくなると思いますけどね。
それとも自分で自分の子どもを殺してもそれが支配や虐待のせいだと裁判所に認定してもらえば罪の意識も消えてなくなるんですか?

EoH-GS 因みにコイツは学校に行きたくないという子どもの言うことをきくのは憲法違反と言ってるから子どもや左翼的立場に立ってるわけでもない。左翼っぽい論理を使うと馬鹿を騙せるとどっかで学習したんだろう。
2018/04/04

http://b.hatena.ne.jp/entry/scopedog.hatenablog.com/entry/2018/04/02/080000

こういう罵倒と曲解と中傷ばかりで中身のないコメントをつける人を私はネトウヨと呼んでいます。こういう人が左翼だというなら、私は左翼でなくて結構です。
ところで、子どもの立場に立ってるつもりならば、殺害された二人の子どもたちの立場に立ってみたらどうかと。

iiiloveuuu07 弁護側の求刑によれば執行猶予判決もできただろうに、納得できない。女性が殺害に至ったのは義父に中絶費用だしてもらえなかったからだぞ。収入全部握られてたんだぞ
2018/04/04

http://b.hatena.ne.jp/entry/scopedog.hatenablog.com/entry/2018/04/02/080000

記事で書かれている以上の状況を知りませんので断言できませんが、中絶できなかったとしても出産後に産院の前に子どもを置いてくるとかは出来たかもしれませんよね。あるいは妊娠期間中に役所に電話で相談したりも出来たかもしれません。殺害して当然の状況だったとは言い切れないんじゃないかと。
子どもの命ってそんなに軽いものじゃないでしょ?

zaikabou ハーグ条約とか、そういう話題の時のscopedogさんの論調は、以前から興味深いものがある

http://b.hatena.ne.jp/entry/scopedog.hatenablog.com/entry/2018/04/02/080000

自分の中では一貫しているつもりですのでよくわかりません。
本件に関しては、(1)情状酌量されていないという誤解、(2)義父は殺人罪に問われていないという誤解、(3)虐待されてた女性の視点にばかり偏り、殺害された子どもの視点が軽視される傾向、(4)女性が「裁判でも「罪をつぐないたい」と話していた」ことを無視している点、などについて違和感があったので書いた感じで、いつもと違う問題意識ではないと思ってますよ。
違うとすれば、右派的な論調に対する批判ではなく、左派的な論調に対する批判だという点ですかね。
あと、この件ハーグ条約とは関係ないと思います。

付記

個人的な感想ですが、殺人を犯した自責の念から自首して「罪をつぐないたい」と言ってきた人に「貴方は悪くない」といって釈放することがその人にとって救いになるのでしょうかね。虐待による心の傷を治療する必要性はあるでしょうが、執行猶予がないのはおかしいと決め付ける行為が傍観者の自己満足になってないか自問することも必要だと思いますよ。その上で、“本人が「罪をつぐないたい」と言っていてもやはり執行猶予をつけるべきだ”というなら、なぜそう思うか理由と共に主張すべきだと思いますね。
もちろん、本人が「罪をつぐないたい」と言っていても、境遇を考慮すれば、刑罰ではなくて心的治療こそ行うべきという主張であれば理解はしますし、それを否定するものではありません。



*1:裁判期間を考慮すればこれから服役しなければならない期間は実質2~3年程度だと思います。