韓国の養育費不払い親情報公表に対する刑事裁判で無罪判決

この件。
「養育費未払いの親の身元公開」バッドファーザーズ関係者「無罪」(登録:2020-01-16 02:15 修正:2020-01-16 07:49 )

なかなか色んなことを示唆しています。
一つは、離婚後共同親権を認めている韓国でも養育費不払い問題があるということです。

 A氏は「韓国は養育費の被害児童が100万人にもなる。子どもたちが苦しみから抜け出せる世の中になってほしい」と最終陳述で述べた。

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/35481.html

最終陳述の内容が事実なら100万人以上の児童が非監護親の養育費不払いの影響を受けているということになりますが、それでも韓国は離婚後共同親権を認めているわけですから、“養育費不払いがあるから共同親権にすべきではない”という理由での離婚後共同親権反対にはあまり正当性がないように思えます。

二つ目は、本件は国民参加裁判で7人の陪審員による評決とのことですが、国民感情として養育費不払いに対して批判的だということだと思います。で、それでも離婚後共同親権を認めているわけで、どうも日本のように養育費完全受給を共同親権の要件とはみなさず、養育費受給率を上げるためには共同養育を進める必要があり、共同親権はそれを後押しする制度の一つくらいの認識なのではないでしょうか。

三つ目。あくまで地裁の陪審員判断ですので、上級審にいって判決が覆る可能性があります。個人的な意見として、公的機関が不払い者の事情や反論などを踏まえた上でそれでも尚悪質だとして公表するならともかく、民間人が「本人への確認手続きもなしに」個人情報を公表するのはあまり賛同できません。もし、監護親側が非監護親の社会的評価を貶める目的で虚偽の情報を提供した場合、サイト運営者はどう考えても名誉毀損の加害者になります。そのような虚偽情報に基づく名誉毀損を回避する手段がちゃんとあるのかどうか記事から読み取れず、その辺が気になりました。