逆に日本が旭日旗に執着する理由の方がよくわからない

この件。
100年前の韓国臨時政府「旭日マーク」債権で資金集め!? 韓国の高校教科書に写真掲載も…識者「写真が闇に葬られる可能性ある」(2019.10.19)

タイトルにある「識者」が嫌韓レイシストの室谷克実氏と言う時点で笑うしかないんですがね・・・。
そもそも極右排外主義者が好んで用いる旭日旗に日本側が何故こう執着するのかがわかりません。
ナチスドイツと同盟を結んで侵略戦争を行った挙句、最終的には本土を焼け野原にされた大日本帝国軍国主義の象徴である旭日旗を戦後も使い続けたこと自体が無神経でしょうにね。
ナチスのカギ十字に対する反発と同様の反発があってしかるべきなのにその認識すら持てないのは何なんですかね。

ちなみにこの室谷記事にある「韓国臨時政府「旭日マーク」債権」とはこれのことのようです。

f:id:scopedog:20191112015944j:plain

http://agora-web.jp/archives/2041732.html

嫌韓バカにはこれが旭日マークに見えるそうです。



ブコメについて

[B! ジェンダー] 性交同意年齢を16歳未満とした場合に中学生に対してどんな性教育ができるのか - 誰かの妄想・はてなブログ版 の件。

性交同意年齢を16歳未満とした場合に中学生に対してどんな性教育ができるのか - 誰かの妄想・はてなブログ版

「同意の有無に関係なく刑法が性交等を禁止している性交同意年齢未満の生徒を対象に「自分の性行動を考えよう(避妊と中絶)」なんて授業ができるわけがありませんから」その理屈はおかしい。苦情を言う方が狂人だ

2019/11/09 15:23
b.hatena.ne.jp
私もそういう連中は狂人だと思いますけど、刑法上の性交同意年齢以上である中学生・高校生に対する性教育についてすら苦情をいう狂人の同類が現政権であり、国会のみならず地方議会にも同類の議員が多数おり、教育行政に大きな影響力をもっているわけですよね。
性交同意年齢を引き上げたら、そういう狂人連中が性教育規制に悪用するって、そんなに想像もできないことですか?“そんなことは絶対にありえない。懸念すること自体が間違ってる”とか思うんですか?

性交同意年齢を16歳未満とした場合に中学生に対してどんな性教育ができるのか - 誰かの妄想・はてなブログ版

未成年の飲酒は禁じられているからと言って「一気飲みは危険」という教育ができないというわけではないと思うけど。

2019/11/09 14:47
b.hatena.ne.jp
公教育で「一気飲みは危険、適度な飲酒を」なんてこと教えられないと思いますが?少なくとも日教組の教員が学校の授業でそんなことを教えてるのが露見したら、日本会議系の連中から散々苦情が出て炎上するんじゃないですかね。
例えばこれは高校生に対する飲酒の教育ですが、未成年飲酒がいかに危険かという内容です。
こういう感じで性交がいかに危険かということを教える性教育をやるべきということですか?
ちなみに未成年者飲酒の場合、飲酒を知りながら止めなかった親や販売者した店に科料又は罰金が規定されています*1が、飲酒の事実が起きた後に知った場合は今後しないように指導すれば処罰対象となることはまずありません。
これに対して刑法177条違反の場合、性交同意年齢未満の性交が起きた時点で処罰の対象となり罰則も5年以上の懲役(わいせつだと6か月以上10年以下)です。既に親告罪でもありませんし、懲役5年以上なら執行猶予もありません。
未成年者飲酒のように教師などがその事実を知った後で“もうするな”と指導するだけで済むような犯罪ではありません。

性交同意年齢を16歳未満とした場合に中学生に対してどんな性教育ができるのか - 誰かの妄想・はてなブログ版

結婚できる年齢になるまで結婚制度について教えてはいけない、なんて主張する人はいないわけで、性教育自体は問題なくないですかね。

2019/11/02 20:00
b.hatena.ne.jp
結婚は役場に届け出ることで成立し法的効果が発生する制度であって、結婚できない年齢の者に教えたところで結婚することはできません。これに対して法律上性交出来ない年齢であっても発育状態によって性交すること自体は出来るのですから、比較対象として成立してません。

性教育の現状

こんな状況のようですよ。(「性教育の手引」を見てもそうなってます。)

では、学校での性教育はどうなっているのでしょうか。学習指導要綱では、小4保健で初経、精通。小5理科で妊娠を扱います。中1保健で二次性徴、中3保健で性感染症とその予防にコンドームという言葉は出てきますが、問題は性交については扱わないということです。性交は「性的接触」という言葉で表現され、具体的な内容については触れません。「性交について触れずに性感染症の予防にコンドームを教える」という無理難題が、現場の先生方には課されています。

https://yourclinicakb.jp/column/%E6%80%A7%E6%95%99%E8%82%B2%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

この上、16歳未満の性交が同意の有無にかかわらず刑法で禁止されたとしても、“適切に性教育ができる、性交同意年齢の引き上げは性教育に何の影響も与えない”とか本気で思ってるんですかね。
ところで2003年の七生養護学校事件ですが、この時の性教育規制派のやり方は非常に汚くて、東京都教育委員会養護学校の校長を教諭に降格しているんですが、その際の名目に「性教育」を直接には掲げていないんですよね。
そして裁判の中でこう主張しています。

 被告(注:都教委)は本件学校での性教育の実施に係る不適切な学校教育の管理も非違行為に該当すると見ているが,本件各処分の理由としては,処分説明書記載の事実のみで十分と判断したため,処分理由とはしていない。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/788/037788_hanrei.pdf

つまりは別件で降格にしたわけです。要するに気に入らない性教育を規制するためにこういう汚いことをやるのが日本会議系の保守なわけです。
ちなみに七生養護学校事件の地裁判決では性教育の妥当性については判断せず「その余の点を判断するまでもなく,本件各処分は違法であって,原告の請求はいずれも理由があるから,これを認容することとする」として懲戒処分を取り消しています。「その余の点」に性教育に関する点が含まれてるんですけどね。

性交同意年齢が16歳未満となった場合、中学生にコンドームの使い方なんか教えたら、こういう連中は当然のように「非違行為」とみなすでしょうし、裁判沙汰にもなるかも知れません。そうなれば、刑法上の性交同意年齢未満に対する性教育の妥当性について裁判上の争点として判断されるかもしれませんが、その訴訟の帰趨がいずれになろうとも判決が確定するまでの期間の性教育は停滞せざるを得ないでしょうね。
七生養護学校事件の時も10年停滞したそうですから。

国会でも積極的な性教育が批判され、2013年に七生養護学校側が最高裁で勝訴(都議会議員に対する名誉毀損)するまでの10年間、東京都では全くと言っていいほど、性教育が行えない環境になってしまいました。

https://yourclinicakb.jp/column/%E6%80%A7%E6%95%99%E8%82%B2%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

それにしても現行刑法下であっても中学・高校の性教育に苦情を言う保守系連中がいるのに、性交同意年齢を安易に引き上げたらそういう連中に利用されるとは全く思わないんですかね。
私はそこまで日本会議系保守を信用してはいないんですが。



韓国憲法裁判所に提訴されたGSOMIA終了に関するちょっとした疑問

この件。

GSOMIA終了決定 違憲とする訴え却下=韓国憲法

11/3(日) 17:00配信 聯合ニュース

【ソウル聯合ニュース文在寅ムン・ジェイン)政権が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了を決めたことについて、保守団体が国民の生命権と幸福追求権を侵害すると訴えた訴訟で、韓国の憲法裁判所が違憲かどうかを判断せず訴えを却下したことが3日、分かった。
 法曹界によると、憲法裁は「協定の終了過程で憲法と国会法に規定されている手続きを踏まなかったといって国民の基本権を侵害したとみることはできないため、(審判の)対象にならない」と却下の理由を説明。「協定が終了するといって将来、韓国が侵略的戦争に巻き込まれるという点は認めがたい」として、「協定の終了により、請求人の生命権、幸福追求権を侵害する可能性があるといえない」と述べた。
 文政権は日本との貿易分野での対立が激化したことを受け、8月22日に「安全保障上の敏感な軍事情報交流を目的に締結した協定を維持することは韓国の国益に合致しない」として、協定の終了を発表した。今月23日に効力を失う。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191103-00000019-yonh-kr

ちょっとよくわからないのは「協定の終了過程で憲法と国会法に規定されている手続きを踏まなかった」という点。協定不延長の決定に国会同意が必要なのだろうか?安保に関する条約の締結・批准の国会同意権を規定した憲法第60条をことを指すのだろうか?この辺は解釈が色々ありそうな気もするのだが。

憲法裁の判断である「協定の終了過程で憲法と国会法に規定されている手続きを踏まなかったといって国民の基本権を侵害したとみることはできない」というのは、それはまあ理屈としてはそうなのだろう。主旨としては、手続きの有無と基本権の関連ではなく、GSOMIA終了と基本権の関連を問うているものであろうから、その点に対する返答が「協定が終了するといって将来、韓国が侵略的戦争に巻き込まれるという点は認めがたい」「協定の終了により、請求人の生命権、幸福追求権を侵害する可能性があるといえない」といった部分で、それもまあ、そりゃそうだろうね、という感じ。

どうも「憲法裁判所が違憲かどうかを判断せず」というのが協定終了の韓国国内手続きについてのようで、それなら確かに上記の回答で提訴の主旨に対する十分な回答になっているかもしれませんねぇ。憲法裁判所だからと言って何でも憲法判断するわけではないようです。



木村草太氏の言う通りなら尚更離婚後共同親権にすべきではないかと思う

離婚後共同親権への移行をリベラルの手で推進してほしいという思いは今でもあるのですが、どうにも期待できなさそうなのがねぇ。
いやまあ、木村草太氏や千田氏、駒崎氏、篠田弁護士、猪野弁護士のようなガチガチの反対派だけでは無いんでしょうが・・・。

人権事案で海外の事例を挙げて日本が遅れていると指摘すると、日本特殊論を持ち出して反対を正当化するようなのはネトウヨだけかと思っていましたが、こと共同親権となるとネトウヨを批判していた人たちがネトウヨ同様の日本特殊論を持ち出して反対を正当化するという有様なんですよね。
で、木村氏などは、共同養育と共同親権は別、共同養育ができるなら共同親権はいらない的な主張をしているのですが・・・。

上記は共同養育は現行民法でできるのだから民法改正は必要ないという木村氏の主張ですが、木村氏の言うような共同養育が出来るのであれば尚のこと共同親権にすべきだと思うんですよね。
東京高裁の判例(昭和30年(ラ)第198号 親権者変更請求抗告事件)にこう書かれています。

東京高裁 昭和30(ラ)198  親権者変更請求抗告事件 <要旨>元来親権は、血縁関係(養親子にあつては血縁関係が擬制されている)に基く親の未成年の子を養育するという人類の本能的生活関係を社会規範として承認し、これを法律関係として保護することを本質とするものである。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/639/021639_hanrei.pdf

親権とは“血縁関係に基く親の未成年の子を養育するという人類の本能的生活関係を社会規範として承認し、これを法律関係として保護することを本質とする”ものだとはっきり書かれていますね。
離婚後共同養育ができている、それを是認するというのであれば、離婚後であっても親の未成年の子を養育するという人類の本能的生活関係を社会規範として承認するということになりますから、それを法律関係として保護するためには共同親権も認めなければならないんじゃないですかね。



今の日本では珍しくもないが嫌韓派の集会としか言いようがないシンポジウムだな

この件。

韓国のGSOMIA破棄決定「結果的に北の意向に沿った決断」

11/5(火) 22:48配信 読売新聞オンライン
 第16回安全保障シンポジウム(NPO法人ネットジャーナリスト協会主催、読売新聞社後援)が5日、都内で開かれ、悪化する日韓関係など北東アジア情勢について議論した。
 基調講演では、佐々江賢一郎・前駐米大使が、朝鮮半島の将来について「最も望ましくないのは、統一された朝鮮が核を保有し、反日的で、中国の拡張政策のパートナーとして存在することだ。そうならないように打てる手を打っていくことが必要だ」と指摘。河野克俊・前防衛省統合幕僚長は、韓国が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定したことについて、「結果的に北朝鮮の意向に沿った決断をした。日米韓でタッグを組んでやろうという中で非常にまずいことだ」と批判した。
 討論会では、薗浦健太郎自民党総裁外交特別補佐が徴用工問題を巡る韓国の対応について「自分たちが国際約束を破っておきながら、世界が問題を認識し始めると、とりあえず日本と仲良くしようとしている」と分析した。このほか、磯部晃一・元陸上自衛隊東部方面総監、村井友秀・東京国際大学教授が、北朝鮮や中国、日米同盟をめぐる問題などで意見を交わした。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191105-00050236-yom-pol

佐々江賢一郎前駐米大使が「最も望ましくないのは、統一された朝鮮が核を保有し、反日的で、中国の拡張政策のパートナーとして存在すること」だと言ってますが、じゃあ、望ましいのは何なのか、という話ですよね。
多分、日本政府はじめ日本人の大多数は、韓国と北朝鮮が永遠に分裂し対立しあって互いに苦しむという平和主義の欠片もない利己的なことを望んでいるんでしょうけど。実際、日本政府の朝鮮半島外交は一貫して、南北和平の妨害に終始しているわけで。

最も望ましいのは核を放棄した統一された朝鮮半島と協調して中国・ロシアとも友好的な関係を築くことでしょうが、そんなことはつゆも考えもせずに、嫌韓政策を進めて韓国を反日に追いやると言う愚行を止められないのが今の日本ですからねぇ。

半島統一を妨害し、核兵器に頼らなければならないような状況に北朝鮮を追い込み、嫌韓を煽り、中国人に対する蔑視感情と同種の感情を韓国人や朝鮮人に対して抱き続ける。

そんなことをやっておいて「最も望ましくないのは、統一された朝鮮が核を保有し、反日的で、中国の拡張政策のパートナーとして存在すること」とかバカじゃねーのとしか思わないんですけどね。

河野克俊・前防衛省統合幕僚長の「結果的に北朝鮮の意向に沿った決断をした。日米韓でタッグを組んでやろうという中で非常にまずいことだ」という批判も同様で、「日米韓でタッグを組んでやろう」とか本気で思っているなら、まず最初に相手を侮辱するのを止めるべきでしょうに。
それに「北朝鮮の意向に沿った決断」というなら、安倍政権が仕掛けた貿易規制がまず、それでしょうよ。北朝鮮の意向に沿って、日韓間に市民レベルでの対立の種をばら撒いたわけですからね。
韓国から北朝鮮に物資が横流しされたという証拠すら一切示すことができないのに、単なる嫌韓感情と歴史修正主義の欲望のみで安倍政権が突っ走った結果でもありますし。

薗浦健太郎自民党総裁外交特別補佐の「「自分たちが国際約束を破っておきながら、世界が問題を認識し始めると、とりあえず日本と仲良くしようとしている」と分析」も自民党らしい自己中心的・日本無謬信仰の産物ですね。
何度も指摘されていることですが、1965年の日韓請求権協定は賠償を対象としていないので韓国大法院判決が協定違反にはなりません。
「世界が問題を認識し始めると、とりあえず日本と仲良くしようとしている」というのも世界は日本が正しいと判定してくれているという過信でしかありません。

帝国主義時代の宗主国が多い先進国政府が、植民地支配下での行為に対する賠償請求に対して潜在的に好意的ではないというのはありうる話ですが、通常の先進国なら国内的に植民地時代の蛮行に対する自省の動きもあり、朝鮮を植民地支配し強制労働を科したことに対して好意的な態度を採る保証などありません。

薗浦発言は自己陶酔レベルの自信過剰の発露と言えますが、今の日本社会はそれを恥とすら思わないほど堕落しているわけで、こちらの方が深刻な問題かも知れませんねぇ。



この言い分はどうかなぁ・・・。

このツイート。

ジェイ・アレン氏のツイートは英語だから日本語話者から見て目に付きやすいとは言えないし、叩くとしても日本語話者が英語で書くというハードルがあるわけで、“米国人だから”“男性だから”という理由に収斂されるわけでもないでしょうに。
フォロワー数で見ても太田弁護士の方が多いし*1、純粋に表現だけで見てもジェイ・アレン氏の「disappointed」「the over-sexualized」に比べて太田弁護士の「本当に無神経」「公共空間で環境型セクハラしてるようなもの」の方がより攻撃的な印象を受けますしね。



*1:2019年11月1日時点でアレン氏:1万に対して太田弁護士:3万程度のフォロワー数

性交同意年齢を16歳未満とした場合に中学生に対してどんな性教育ができるのか


上記ツイートに起因して考えたことです。
有害図書規制に関してはその経緯をちゃんと把握していないので、フェミニズムのかかわりについて論ずることはできませんが、別の件でフェミニズムと保守がまるで共闘しているかのように見える事案があったりします。

2018年4月の記事にこんなのがあります。

中学校の性教育で大論争、東京都議vs教育現場それぞれの言い分

末吉陽子:フリーライター
2018.4.24 5:00

都議が疑問視したのはなぜ? 不適切とされた性教育授業とは

 コトの発端は、3月16日に開かれた東京都議会文教委員会。自民党所属の古賀俊昭都議が、足立区の中学校で行われた人権教育および性に関する教育の授業について、「不適切な性教育の指導が行われているのではないか」と東京都教育委員会(以下、都教委)に答弁を求めたことにはじまる。
(略)
 まず、古賀議員が「不適切ではないか」と指摘した性教育の授業について、触れておきたい。3年間で合計7時間実施される「性の学習」と名付けられた授業では、1年生で「生命誕生」「らしさについて考えよう」、2年生で「多様な性」、3年生で「自分の性行動を考えよう(避妊と中絶)」「恋愛とデートDV」など、段階を踏んでテーマが設定されている。
 なお、「性の学習」とは別に、保健体育の授業でも、「月経」「射精」「性感染症」「エイズ」などについて学ぶ。これらの授業案作成に携わった、性教育研究の第一人者、埼玉大学教育学部の田代美江子教授に、授業内容のポイントについて聞いた。
(略)

https://diamond.jp/articles/-/168347

上記のような中学生に対する性教育に対して「不適切」だと主張したのは、自民党古賀俊昭都議です。赤旗によれば、古賀都議は日本会議のメンバーです。

 同会議(引用者註:日本会議)地方議員連盟の設立代表発起人のひとり、古賀俊昭自民党都議はこれまで、侵略戦争を美化する「つくる会教科書」の採用や「日の丸・君が代」の強制を主張し、東京の民主的な教育を攻撃してきました。

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-05-31/2017053101_03_1.html

私は中学生に対する上記引用のような性教育は必要だと思いますし、むしろもっと充実させるべきだとも思います。そしておそらく多くのリベラルも同じように考えていると思います。そして、多くのフェミニスト性教育の必要性については同意するかと思います。
しかしながら、フェミニストは性暴力関連の刑法改正を主張しており、その中にはこういうものもあります。

・性交同意年齢を引き上げ、抜本的に見直す

https://www.bengo4.com/c_1009/n_9801/

性交同意年齢の引き上げとは、「十三歳未満の者」に対するわいせつ・性交等を「暴行又は脅迫」が無くても処罰の対象としている刑法176条・177条の規定をより高い年齢に引き上げるという主張です。

(強制わいせつ)
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=140AC0000000045

何歳に引き上げるかについては14歳から16歳まで緒論ありますが、もし性交同意年齢を16歳に引き上げる刑法改正が行われたら、性交同意年齢引き上げを主張しているフェミニストの他に中学生に対する性教育に対して「不適切」だと主張している日本会議が大喜びするでしょうね。
何故って、同意の有無に関係なく刑法が性交等を禁止している性交同意年齢未満の生徒を対象に「自分の性行動を考えよう(避妊と中絶)」なんて授業ができるわけがありませんから。
授業でやろうものなら“刑法に違反する行為を推奨するのか!”という苦情が保守派、特に日本会議系の連中から必ず来るでしょう。
性交同意年齢未満を対象にできる性教育は、性交同意年齢未満の性交は法律で禁止されている、というものに限定するしかありません。当然、刑法違反行為の実施を前提とした「避妊」「中絶」「性感染症」を授業でまともに取り上げられるわけがないでしょうね。授業では“法律で禁止されているからやるな”しか言えなくなります。

中学生に対する性教育を規制したい日本会議と性交同意年齢の引き上げを主張するフェミニストが裏で手を結んでいるとは思いませんが、長い時間をかけて中学生にも自らを守るための知識を与える性教育を充実させてきた努力が水泡に帰す可能性をちゃんとフェミニストが考慮しているのか疑問に思います。
日本会議に塩を送るようなことにならないことを祈りますが。

ちなみに2018年の古賀俊昭自民党都議による性教育反対の主張はほとんど共感を呼ばなかったようですが*1、15年前の2004年の中央教育審議会ではこんな発言すら出ていたんですよね。

教育課程部会 健やかな体を育む教育の在り方に関する専門部会(第4回) 議事録

1.日時
平成16年12月21日(火曜日) 10時~13時
(抜粋)
委員
 先日、田舎の小さな小学校の中学年を対象にした性教育の授業を参観した。男女一緒に、親も参観しながら授業が行われていた。私が学校に通っていた時には、性教育は全くなかったに等しく、女子に対して生理の指導があった程度だった。命という大切さという観点から、今後、中学生であろうが、高校生であろうが、性的行為をしてはいけないんだということについては、きちんと教えていく必要がある。ただ、学校間で差があるようであり、基盤づくりをする必要があるのではないかと感じている。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/022/siryo/1263975.htm

「今後、中学生であろうが、高校生であろうが、性的行為をしてはいけないんだということについては、きちんと教えていく必要がある」という発言がまかり通った時代があったわけです。性交同意年齢の引き上げというのは、こういう主張に刑法の罰則をもって後ろ盾を与えるようなものではないんですかね。

あと、性交同意年齢の引き上げを主張している人がよく用いる“海外の性交同意年齢はもっと高い”と言う主張ですが、アメリカのどこだったかの州法では一律に年齢で禁止しているのではなく“5歳以上年上の者が何歳未満の者と行為に及んだ場合”と言った感じで処罰の有無や程度を分けていたりしてます。
性交同意年齢の引き上げの本来の目的が、判断力の未熟な未成年者に対して年長者が性的行為を行うことを処罰することにある以上、このような検討だって必要なはずなんですが、日本でそのような議論があることを私は知りません。

私は「中学生であろうが、高校生であろうが、性的行為をしてはいけないんだということについては、きちんと教えていく必要がある」なんてのはナンセンスで、双方の同意があれば問題ないと思いますが、双方の同意とはどういうものなのかということについてはしっかり教える必要があるとは思います。
以前の記事でもそのような認識で「性交同意年齢の引き上げには賛同できませんね」と書いたんですが、EoH-GS氏から下らない揚げ足取りをされて、散々に罵倒されましたねぇ。ま、EoH-GS氏は自らが日本会議の手のひらの上で踊っていても気にならないのかもしれませんが。