悪しき前例

海上保安官の処遇が決まった後とは言え、結局は”暴力装置”である海上保安庁の一員の暴走を事実上追認する形になったのは残念です。

尖閣ビデオ参院提出…補正予算採決へ環境整備
読売新聞 11月22日(月)21時39分配信
 政府は22日、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を撮影したビデオ映像を参院に提出した。
 インターネット上に流出した約44分の映像とほぼ同一のもので、海上保安庁の鈴木久泰長官が西岡参院議長に手渡した。
 参院予算委員会が19日、映像提出を要求する議決を全会一致で行ったのを受けた措置。野党側は流出映像の国会提出を、2010年度補正予算案の参院における採決の条件の一つとして要求してきた。このため、政府側にとって、採決に向けた環境整備の狙いもある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101122-00000995-yom-pol

政府の方針に反対する一海上保安官による意図的漏洩であったが故に、早期の公開はすべきではなかったと思います。
漏洩している映像はネット上でいくらでも見ることができるので、そもそも公開の必要性はありません。政府が公開したことで一般人の事件に関する情報理解が変化するわけでもありません。
何か意味があるとすれば、情報漏洩とそれに乗じた政府非難、野党による政局的な圧力が、法の支配を揺るがした前例を作ったことでしょうか。

今回の一件でこの国の官僚は、気に入らない政権ができた場合、国民を煽るのに便利な情報を漏洩させることで政権を追い詰めることが出来ることを知ったことでしょう。