江南殲滅作戦における日本軍による虐殺事件

江南殲滅作戦は、中国では鄂西会戦と呼ばれ1943年4月から6月にかけて主に湖北省西部で戦われた戦闘です。
日中戦争期における日本軍の暴行事件としては南京事件が一番有名でしょうが、犠牲者数百人、数千人規模の虐殺事件は他にも数多くあります。

廠窖虐殺事件

中でも、1943年5月8日から12日にかけて起きた廠窖虐殺事件は、軍民約3万人の犠牲者を出した大規模なものです。
廠窖は湖南省南県に位置し、洞庭湖の北岸から突き出た半島部にあります。江南殲滅作戦の第一期において南県に展開していた中国軍第73軍*1を撃破し、同地域を占領。廠窖虐殺事件はその際に起きています。

日本軍による太平洋戦争最大の3万人虐殺事件 湖南に記念館完成
8月 16, 2010
 (中国通信=東京)長沙15日発新華社電によると、日本軍国主義の無条件降伏65周年の同日、太平洋戦争最大の虐殺事件の3万人の犠牲者を追悼する「厰窖虐殺事件記念館」が事件のあった湖南省南県廠窖鎮に完成し、開館した。
 廠窖虐殺事件跡は日本の侵略者が中国で罪のない人々を虐殺し、極悪非道の罪を犯した重要な罪証である。記念館の建設工事は2008年に始まった。一般からの資金援助を受け、南県は4・52ヘクタールの土地を用意し、記念館をはじめ平和を祈る彫刻群、警鐘の台地などをつくり、犠牲者の記念碑を補修した。同時に記念館のためにレベルの比較的高い展示の準備を行った。
 記念館は建設面積が1600平方メートル、展示面積が800平方メートル。展示内容は「日本軍の中国侵略」、「血なまぐさい虐殺」、「奮起反抗」、「動かぬ証拠」、「長く警鐘を鳴らす」、「平和を大切にする」の六つの部分からなり、歴史的史料や写真、生存者が語る音声・映像資料、歴史的実物など70点余りが展示されている。そのうち56点は民間から集められたもの。
 1943年5月9日から12日にかけ洞庭湖の湖畔にある魚とコメが豊富な廠窖鎮が地獄と化した。日本軍はここで罪のない人々を虐殺し、中国侵略で二番目の大虐殺事件を起こした。これは太平洋戦争の最大の虐殺事件で、わずか3日間に中国の軍民3万人余りを殺害し、200人余りの女性を強姦し、第二次世界大戦でのファシストによる1日の殺りく数としては最多となった。
 記念館の責任者は次のように説明した。日本軍は当時、湖南の戦場で相次いで敗れたため、勝利の自信を高め、中国軍民の抗日の鋭気をくじき、太平洋戦争の受け身の局面を転換する必要があった。侵略者は残忍な報復の心理があり、人間性を失い大虐殺事件を起こした。

http://www.china-news.co.jp/node/50918


この江南殲滅作戦は、江北殲滅作戦(1943年2月〜3月)、常徳殲滅作戦(1943年11月〜1944年1月)と並んで1943年における三大殲滅作戦と呼ばれています。
江南殲滅作戦の後半は中国軍の反撃が激化し、日本軍にも相応の被害が出ており、勝敗は微妙な結果となっています*2。その後の常徳殲滅作戦では、日本軍はさらに苦戦しています。

*1:軍長は汪之斌。湖南省出身。第2次上海事変では、第15師師長として参戦

*2:中国側も日本側も勝利と主張