名前の呼び方と差別性

橋下氏を「ハシシタ」と呼ぶこと自体が、差別だと言われれば、なるほど確かにそうかも知れません。
少なくとも上品な表現と言えないのは確かです。

ただ、週刊誌という言論空間において用いられる表現として抜きん出て問題のある表現とは思いません。政治家の名前をもじって、明らかに侮辱的な表現をしている事例は枚挙にいとまないでしょう。ネット上だともっとひどい表現がまかり通っています。小泉、安倍、麻生、鳩山、菅、野田などの名前をもじった揶揄表現はいくらでも見受けられますし、野党の政治家や首長でも良く見られます*1。いずれも下品であるとは思いますが、特に咎めようとは思いません。本人がその表現を用いないよう求めたり、同名他者が差別されたりすれば、問題だとは思いますが、これはもう程度問題としか言えません。

とは言え、これらの表現に差別性を感じることも大事なことではありますし、それを指摘する人もいてしかるべきでしょう。私には残念ながらそこまでの鋭敏な感覚がないという話に過ぎません*2

汚沢はいいのか? 2012/11/05 21:03
タイトルの「ハシシタ」って時点でアウトだろうに。
本文に直接的な差別表現がないから問題ない、とか言ってる奴は、行間や文脈から溢れる差別感情丸出しの悪意が読み取れないお粗末な読解力と己の差別意識の低さを心配した方がいい。
差別用語が無ければ差別じゃない?アホか

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20121021/1350786500

まあ、「汚沢はいいのか?」なんてハンドルを使う人に言われても失笑するしかありませんけどね。

「汚沢」表現はいいけど「ハシシタ」表現は許さん、という人はそんなにいないと思いますが、いてもそういう人とは会話が成立しそうにありませんのでお手上げです。
どっちも差別的な要素が含まれていますが、私個人としては取り立てて問題視するほどのことではないと考えています。

もちろん双方とも問題視して糾弾するのも、それはそれでその人の自由であり尊重します。また、問題意識のあり方として大事なことであるとも思います。

*1:ネットで政治系の話題をよく見ている人は、まさか「見たことない」とは言わないでしょう。

*2:記事の内容についても同じく、佐野氏の記事が橋下氏に対する嫌悪に溢れていることはわかりますが、そのような記事は週刊誌ならよく見られる程度のもので、特出して騒ぐレベルのものではないと思っています。もちろん、そういった週刊誌記事一般のあり方として問題視する視点は重要です。今回の場合、橋下氏自身が大騒ぎしたことにより、クローズアップされ、そこに「部落差別」というタームが含まれていたこと、そしてポジショントークを避けようとする良心的な態度が、複合的に作用して混乱を生じさせているように思えます。結果、クローズアップされた「部落差別」というタームに目を奪われ、橋下氏の対応が記事の内容に見合ったものだったか、に目が向けられていないように私には思えます。もっともこのような物言いは、週刊誌の下品な記事だからと言って差別を見逃すまいとしてきた人たちに対しては失礼になりますが。