使い捨て暴走老人

今回の衆院選では橋下氏自身は参加せず安全圏から威勢のいい台詞をばら撒くだけなわけですが、その意味では石原氏をも鉄砲玉として使い捨てにする気満々だなとある意味感心させられます。

橋下氏「惨敗なら挑戦やめる」【12衆院選
時事通信 11月21日(水)21時44分配信
 日本維新の会橋下徹代表代行(大阪市長)は21日、大阪府松原市で街頭演説し、12月16日投開票の衆院選について「惨敗したら、もうこういう挑戦はやめる。2度も3度もできない」と述べ、今回の選挙に懸ける決意を強調した。 
 橋下氏はまた、「カネもなく、力もなく、組織もなく、看板もない。そんな日本維新の会が国政に挑む。皆さんの力だけで、われわれははい上がっていく」と、しがらみのなさをアピールした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121121-00000184-jij-pol

「惨敗なら挑戦やめる」という台詞に批判的な意見が多いようですが、発言内容自体は当然のことでしかありません。今回の衆院選で惨敗するようでは、次の選挙でもまともに勝てるはずもありませんので、挑戦しないのが当然です。強いて言えば、「挑戦やめる」と言うよりは「挑戦できない」と言った方が正確だというくらいでしょう。
それよりは「カネもなく、力もなく、組織もなく、看板もない。」という発言の方がひどいですね。カネ、組織、看板が欲しくて、政策を捨てて石原氏と野合したわけですから。

「力」については意味不明ですが、政治的力量という意味なら確かにありませんね。他者を煽動して騙す力なら以前から持っているので、今回もいかんなく発揮してくれそうな気がします。

適当な予測

現実問題として、如何に安倍晋三自民党総裁の口が軽く、また排外主義に染まっていようと、今回の衆院選自民党が第一党になるのはまず間違いないでしょう。同様に如何に石原慎太郎氏が核冷戦を期待し、橋下徹氏が大衆迎合優先で政策を放棄しようと、維新の会が無視できない数の議席を獲得することも間違いないでしょう。
一方で民主党にしても、野党第一党を充分に狙えるレベルの議席を確保する可能性が高いと言えます。

公明党はいつもどおりなので、まあいいとして。

小選挙区の影響の度合いは予測できないので、どの程度の議席差になるかは何とも言えません。
可能性の一つに過ぎませんが、自民・公明だけで過半数を確保できない場合、自民・公明・民主の連立政権が出来る可能性は充分にあります。逆に自民・公明・維新の連立政権はちょっと考えにくいですね。
安倍自民と石原維新は、排外的極右的性向において極めて近いと思いますが、それだけに大衆迎合主義の橋下氏は与党内で埋没するのを嫌いそうな気がします。橋下氏は常に責任を負わずに敵を罵れる立場を好みそうですし。橋下氏と石原氏が分裂するとしたら、安倍自民との連立を巡る争いでかな、と予想しています(第一の維新分裂危機)が、おそらくは石原氏も閣外で気ままに暴言を放つことを選択しそうな気がしています。

さて、安倍自民ですが極右維新を野党に抱える以上、下手に排外的な政策を発言するわけにもいかなくなりそうに思います。経済的な要請も踏まえれば、対中対韓外交で融和せざるを得ないでしょう。つまり、経済・外交において、かなり穏当な政策を選択せざるを得ないではないかなあと考えています*1。国内政治的には、憲法を滅茶苦茶にするなどの国民の権利を踏みにじるようなことを平然とやるでしょうが、日本国民の権利問題に関して外圧は期待できませんので、どうにもこうにもならないでしょうね。
極右維新は、外交政策で安倍政権を非難する一方で、改憲などの国民の権利制限には諸手を挙げて賛同するでしょうねえ*2

安倍政権の第一の危機は参院選でしょうが、ここでそれまで安全地帯で様子見していた橋下氏が出てくるでしょうね。この場合も橋下氏は石原氏を切り捨てた方が得策と判断すれば、容易に切り捨てるでしょう(第二の維新分裂危機)。石原氏による排外差別・核武装などの暴言に対するメディアや世論の反応を橋下氏は様子見して旗幟を決めるつもりでしょうが。

参院選時点で安倍政権が維持できるかどうかはよくわかりません。よほど間の抜けた大失策をしない限りは延命できると思いますが、ひょっとすると石破茂氏あたりを出してくるかも知れません。

そんなわけで来年の参院選では、右翼政党と極右政党の争いになりそうだなと思ってます。中道右派、右派、極右の三つ巴*3の今回の衆院選よりさらに救いのない選択肢になるんじゃないでしょうか。

希望があるとすれば、半年後には有権者が維新に飽きてるんじゃないかな、という見込みくらいですね。それはそれで民度としてどうなのか、とも思いますが。

*1:もっとも歴史認識問題ではろくなことをしないでしょうが。韓国相手では慰安婦問題で黙らせる代わりに経済的には好意的な対応をとるとか。

*2:是々非々とかいいながら

*3:まあ、今の民主党中道右派と言っていいかという問題はありますが・・・