アメリカ上院による対日非難決議

ネットをざっと見た感じ、2012年12月4日に議決された米上院決議第543号に関する日本語のニュースが皆無でしたので、記事にしときます。
内容は、ハーグ条約国際的な子の奪取の民事面に関する条約)に関するものです。

Whereas, in 2011, those 941 cases involved 1,367 children who were reported abducted from the United States by a parent and taken to a foreign country;
Whereas, in 2011, more than 660 children who were abducted from the United States and taken to a foreign country were returned to the United States;
Whereas 7 of the top 10 countries to which children from the United States were most frequently abducted in 2011 are parties to the Hague Abduction Convention, including Mexico, Canada, the United Kingdom, Germany, Ecuador, Brazil, and Colombia;
Whereas Japan, India, and Egypt are not parties to the Hague Abduction Convention and were also among the top 10 countries to which children in the United States were most frequently abducted in 2011;
Whereas, in many countries, such as Japan and India, international parental child abduction is not considered a crime, and custody rulings made by courts in the United States are not typically recognized by courts in those countries; and
Whereas Japan is the only member of the Group of 7 major industrialized countries that has not yet become a party to the Hague Abduction Convention:

http://boxer.senate.gov/en/press/releases/120412b.cfm

日本語訳されている方がいましたので、上記引用部に対応する部分を引用します。

 2011年のこれら941の事件には、親によって米国から外国へ連れ去られた1,367人の子どもが巻き込まれている。
 なお2011年に、米国から外国へ連れ去られた子ども660人以上が、米国に戻された。
 2011年に、米国から子どもが最も多く連れ去られた上位10カ国のうち7カ国は、メキシコ、カナダ、イギリス、ドイツ、エクアドル、ブラジル、コロンビアといったハーグ拉致条約の締約国である。
 日本、インド、エジプトは、ハーグ奪取条約の締結国ではないが、2011年に米国の子どもが最も多く連れ去られた上位10カ国に入っている。
 日本やインドといった多くの国で、国際的な親による子の連れ去りは犯罪とは見なされず、米国の裁判所での親権等の判決は、これらの国の裁判所では殆ど受け入れられない。
 日本は、G7主要先進国において、唯一のハーグ拉致条約未締結国である。 

http://kizuna-cpr.org/%E4%B8%8A%E9%99%A2%E6%B1%BA%E8%AD%B0543_-_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88

アメリカから見て、日本はインドやエジプト同様、親による子どもの拉致・連れ去りを犯罪とみなさない遅れた国というわけです。

今回の衆院選ハーグ条約について語っているのは未来の党だけのようですが、産経新聞の認識では、日本人による拉致はきれいな拉致、だそうです。

 日本未来の党は公約で、「『拉致国家』の汚名を返上するためハーグ条約を早期に批准」とうたう一方で、肝心の拉致問題を書いていない。

 米国人男性との結婚が破綻した日本人女性が、子供を日本に連れ帰る問題を指摘したものとみられるが、それと拉致問題は次元が異なる。日本が犯罪国家であるかのような紛らわしい表現だ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121209/plc12120903240005-n1.htm


ちなみに上院決議を再掲します。

in many countries, such as Japan and India, international parental child abduction is not considered a crime,
(訳)日本やインドといった多くの国で、国際的な親による子の連れ去りは犯罪とは見なされず

産経新聞にとっては、子どもの拉致問題で日米関係が悪化しても構わないらしいですね。


まあ、産経新聞がどうだとかいう以前に、この決議をメディアが総スルーしている状況が恐ろしいと思いますけどね。