以前紹介した「「支那事変の経験に基づく無形戦力軍紀風紀関係資料(案)」の別の部分です。
「JACAR(アジア歴史資料センター)Ref.C11110758900、支那事変の経験に基づく無形戦力軍紀風紀関係資料(案) 昭和15年11月(防衛省防衛研究所)」
其ノ三 非行一般ノ状況
一、事変勃発以来昭和十四年六月迄満二箇年間ニ於ケル非行ノ消長推移ノ状況挿表第三(現地)第四(内地)ノ如シ
両表ハ憲兵ノ取扱ヒ又ハ知得セルモノノミノ分ヲ揚ゲ各部隊ニ於テ処分セル分ヲ含マズ
二、犯罪ハ昭和十四年ニ入リ稍減少ノ傾向ヲ示シツツアルモ非行ニ在リテハ何レノ方面ニ在リテモ底止スル所ヲ知ラズ全般的ニ激増ノ一途ヲ辿リツツアルハ誠ニ遺憾トスル所ナリ
非違ハ戦闘間又ハ移動中ニハ発生極メテ少ク駐屯又ハ警備中ニハ多発ス
三、非違ノ内容ハ方面ニ依リ又軍隊ノ動静ニ依リ種々ナルモ一般的ニ観察スレバ無断外出、離隊及飲酒酩酊ニ基ク暴行、服装態度紊乱等ヲ最多トシ以上ノ諸行為ニ伴ヒ上官侮辱、強姦、賭博等ヲ生起シアリ而シテ長期戦ノ経過ニ伴ヒ逐次悪質化スルノ傾向アリ
四、非違ヲ階級別ニ表示セバ左表ノ如シ
1.現地軍
階級別 将校(准) 下士官 兵 軍属 計 関東軍 154 791 3069 1153 5167 北支軍 121 1431 6265 799 8616 中支軍 138 1423 11245 2714 15520 南支軍 9 94 481 100 684 計 422 3739 21060 4766 29987 2.内地
将校(准) 下士官 兵 軍属 計 備考 542 542 2073 193 2977 現役1271、召集1513、軍属193 3.非行ハ犯罪ト同ジク幹部ニ下士官ニ多キハ注意ヲ要スル所ナリ
http://www.jacar.go.jp/DAS/meta/image_C11110758900
軍属ノ比率モ亦少カラズ
本文中に書かれている通り、外征軍全体で3万件の非行行為は憲兵が把握したものだけで、各部隊内で処分した事案については集計に含まれていません。
1939年に入って犯罪行為はやや減ったものの非行行為は激増しており、戦闘中や行軍中は非行発生が少ないものの、駐屯中や警備中には非行が多発すると述べています。