強制売春・人身売買の実態に対する日本人の認識があまりにも貧困であると思う

否認論者だけじゃなく、多くの一般人が抱く人身売買で売春を強要された被害者像があまりにもステレオタイプ過ぎて実態からずれているように思います。

人身売買被害者とは誰か
――日本政府の「人身取引」対策における被害者認知に関する課題
(略)
 WHO提言は被害者について「しかしながら、人身売買された女性がみな、トラウマを抱え、自らを被害者だと思い、捕捉者を憎み、家に帰りたがっていると決めてかかるべきではない」とも述べている。WHOは、さらに人身売買被害者が置かれている複雑な心理状況の特徴として以下の3点をあげている(26)。

  • 女性たちが、人身売買ネットワークの関係者と親密な関係にあったり、ネットワークに関係していたり、忠誠心や感謝の念、あるいはいずれにせよ、「捕らわれ」状況に係わっている人物に依存していたりする。
  • 多くの女性は、自分自身が「人身売買」されたとは考えておらず(国連、その他が定義したところによる)被害者として扱われることを望んでいない。自分の経験は、契約を果たすためにやむを得ず行ってしまったまずい決定の結果であるととらえているかもしれない。そして、女性たちの中には、借金を返すまで、そして自分や家族を養うためのほんの一時的な状況と考えている者があるかもしれない。
  • 女性たちは、自分たちの労働環境を、虐待的、奴隷同然の状態とはとらえていないかもしれない。また、搾取的な関係に対しても不服を唱えないかもしれない。
http://www.keiho-u.ac.jp/research/asia-pacific/pdf/review_2006-06.pdf

被害者自らが加害者に協力して他の被害者を監視したりすることもありますが、「ネットワークに関係していたり」というのがそれにあたります。
似たような構造として、尼崎の事件における姉を監視して連れ戻した妹の存在などが挙げられます。