産経新聞はなぜ嘘をつくのか?(2013年8月3日「一筆多論」)

産経新聞にはデマゴーグがたくさんいて日夜自慰史観に励んでいるようです。イカ臭そうでやだなあ。
で、そのイカ臭い一人である乾正人氏です。

【一筆多論】
過去への謝罪は無駄 中韓「歴史カード」手放さず 乾正人
2013.8.3 09:18
 今年も8月がやってきた。
 今夏もまた、首相が靖国神社に参拝するか否かが、アジア諸国を巻き込んで大きな政治問題になっている。しかも年を追うごとに、中国や韓国の「日本たたき」は常軌を逸するレベルに達している。ことに韓国がひどい。
 慰安婦とは何の関係もない米西部の小さな市にまで慰安婦像をつくり、捏造(ねつぞう)された反日情報を広めようという彼らの暗い情念には、ため息しか出ない。と同時に、とことん論議しても平行線をたどらざるを得ない歴史認識問題をたきつけ、日米韓の離間を図ろうという水面下の動きもほのみえる。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130803/plc13080309210009-n1.htm

「日米韓の離間を図ろうという水面下の動き」があるとすれば、それは乾氏とか古森氏とか阿比留氏とかそういう人たちの動きでしょう。
これまで散々慰安婦関連の事実が証拠をもって提示され、研究が積み重ねられてきているにも関わらず、未だにろくな知識もなしに「捏造(ねつぞう)された反日情報」としか言えないバカが(自称)全国紙の記者として常軌を逸するレベルで「中国・韓国たたき」をやっているのですから情けない限りです。

 韓国の国家情報院は7月30日、北朝鮮の情報機関やハッカーを手助けしたとしてIT企業代表の自宅と事務所を家宅捜索した。北朝鮮が、韓国内外のパソコン11万台に不正プログラムを感染させた事件の裏に自国民がいたようである。ソウル発の聯合ニュースは、会社代表は、学生運動の経験者で、中国で北朝鮮工作員と接触した可能性があると報じている。
 韓国の「左翼」には、日本はもちろん、自国の政権よりも北朝鮮や中国に親しみを感じている人が圧倒的に多い。彼らとその影響を受けている韓国メディアがことあるごとに、竹島慰安婦問題を持ち出す動機のひとつが日米韓の分断にあるとすれば、どうだろう。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130803/plc13080309210009-n1.htm

日本の「右翼」にも、自国の政権よりもアメリカの右翼や韓国の右翼に親しみを感じている産経症患者が多いようですが。彼らとその影響を受けているネトウヨがことあるごとに、韓国や中国たたきをする動機のひとつが日本国内の人権後退にあるとすれば、どうだろう、とか。
まあ、「竹島慰安婦問題を持ち出す動機のひとつが日米韓の分断にある」とすれば、「竹島の日」を制定した島根県河野談話の見直しを掲げた安倍自民党は日米韓の分断を狙っていることになりますね。

 日本の「識者」と呼ばれている諸先輩の中には、日本はさきの大戦への謝罪と反省が不完全だから中国や韓国とうまくやれない、と主張する人がいる。失礼ながら考えが浅いにもほどがある。
 この際、はっきり書いておこう。日本の首相が、さきの大戦や慰安婦問題について膝を屈して謝っても中韓は、「歴史カード」を手放しはしない。もちろん、靖国神社に参拝しなくとも、である。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130803/plc13080309210009-n1.htm

北朝鮮は拉致を認めて謝罪しましたが、日本は「拉致カード」を手放していませんね。自らの不義理を相手に当てはめればそう思えるのでしょうね。しかし既に「拉致カード」は日本国内で右派勢力が左派勢力を攻撃する政局の具に堕していて、国際的には有効なカードではなくなっています。国際的には北朝鮮問題は核問題であって、拉致問題の優先度は格段に低いと言えるでしょう*1
重要なのは、自己満足・自己欺瞞ではなく、周囲から見て日本は充分に謝罪・反省していると認識されることです。「中国ガー」「韓国ガー」ではなく、多くの国から見て日本は充分に謝罪・反省していると認識されるだけのことをやってきたか、と言えば、ノーといわざるを得ません。

 今から18年前の8月15日、村山富市首相は「痛切な反省」と「心からのお詫(わ)び」を表明した。世にいう「村山談話」である。
 官邸詰めの記者だった私は、「『国策を誤り』と談話にあるが、どの内閣のどの政策が国策を誤った、と認識しているのか」と質問したが、具体的な答えはなかった。そんな不完全な論証の上に立つ「村山首相が在任中、最もこだわった」(当時の政府高官)談話は、現政権に至るまで踏襲されてきた。だが、日本と中韓との関係は、談話を出す前よりも悪くなったのはご存じの通りである。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130803/plc13080309210009-n1.htm

せっかく河野談話村山談話の形で謝罪と反省を表明しても、この乾氏のような馬鹿げた右翼言論がはびこっているわけですから、謝罪と反省を信用してもらえないわけです。現実問題として安倍氏、麻生氏、石原氏のような愚かな極右政治家はこれからも現れるでしょう。しかし、時の政権や有力野党、あるいは有力メディアや多くの言論人たちが、愚かな歴史修正主義的発言に対して毅然とした態度で批判し、安倍氏・麻生氏・石原氏らのような暴言が出るたびに政府として改めて謝罪や反省の意と政府はそのような暴言に与しないことを明確に表明すれば、多くの問題は解消するでしょう。
橋下氏の慰安婦容認発言や麻生氏のナチス発言に代表される暴言に対して、安倍政権は“俺は関係ない”といった程度の表明で、改めて積極的な謝罪と反省の意を表明しませんでした。その理由が、安倍首相自身、内心では橋下氏や麻生氏と同様の認識を抱いているからであろうとは誰もが了解していることでしょう。

 慰安婦問題もしかり。平成5年、朝日新聞や日本の一部弁護士が火を付けた「従軍」慰安婦問題は、日韓間の大きな懸案になっていた。政権末期だったにもかかわらず、宮沢喜一内閣の河野洋平官房長官は、具体的な証拠もないまま、強制性を認めたかのような「河野談話」を発表。これが今日まで禍根を残すことになった。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130803/plc13080309210009-n1.htm

こういった二次加害・二次強姦と言える暴言が(自称)全国紙に平然と掲載され、大した非難もされずにのうのうと日本社会で許容される現状こそが問題です。これは日本社会が多様な言論に寛容であるからではありません。例えば、天皇を素材にしたブラックジョークであれば、多くの団体が烈火の如く怒り狂い、「あほやなあ」*2では済まさないでしょう。

 終戦から68年。この長い時間の中、「未来志向」という歯の浮くような外交辞令を何度聞いたことか。政治家個人の浅はかな戦争への贖罪(しょくざい)意識は、強固な反日教育を続けている国家には通じない。むしろ、逆手に取られ続けてきた。
 8月15日は心静かに戦没者の霊を慰め、不戦を誓いたい。それがかなわぬ夢であったとしても。(論説委員

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130803/plc13080309210009-n1.htm

戦前・戦時中から朝鮮人を蔑視する日本人の強固な選民意識は敗戦を経てもなおしぶとく生き残り、平然と差別発言を行う麻生氏のようなレイシストを首相に頂いても恥じないような国家には、植民地支配や戦争犯罪に対する贖罪意識を求めても通じないかもしれません。
日本の極右勢力はその贖罪の求めを逆手に取って、国内の政局に利用し続けてきました。

スルメイカが旬を迎える夏になる度、靖国界隈もイカ臭さが増します。

*1:そもそも、核問題を解決させ国交正常化すれば拉致問題の大半は解決します。逆に核問題も未解決、国交正常化もしていない状況で拉致問題を解決させることなど不可能です。自衛隊北朝鮮に突入させ拉致被害者を救出した後、北朝鮮を滅ぼすなどの手段は漫画でも非現実的すぎ実行不可能でしょう。

*2:「麻生発言は「あほやなあ」ですむ話だ(8月2日)2013.8.2 12:12 」http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130802/waf13080212140016-n1.htm