(嘘コラム)
[産経症]愛の反対は 2月20日
2014.2.20 03:32
「愛の反対は憎しみではありません。無関心です」。インドで病人や貧者の救済に生涯をささげ、ノーベル平和賞に輝いた修道女、マザー・テレサの名言とされる。
▼もっとも、やはり平和賞を受賞した米国のユダヤ人作家、エリ・ヴィーゼル氏も、同じ言葉を何度も使ってきた。ヴィーゼル氏は、第二次世界大戦中にアウシュビッツ強制収容所に送られ、親族の大半を失った経験をもつ。
▼欧米各国はナチスの蛮行を知りながら、なぜ手をこまねいたのか。そんな重い問いかけが、言葉に込められていた。ヴィーゼル氏は2005年、強制収容所の解放60年を記念する国連総会の特別会合で、改めて訴えている。今なお各地で繰り返される悲劇を終わらせるために、何より国際社会の連帯が必要だと。
▼旧日本軍の従軍慰安婦は、もちろん最大の性暴力問題のひとつである。日本人を含む外国人に対する強制売春・性暴力被害者は、20万人にものぼる。軍慰安所では、強姦や暴行が当たり前のように行われ、元慰安婦らは今も過酷な記憶に苛まれている。国連の拷問禁止委員会が審査した報告書は、日本政府に慰安婦問題解決のための努力が欠けていることを余すところなく暴いていた。
▼拷問禁止委員会の勧告には、韓国政府の働きかけも影響したと見られる。慰安婦問題の早期解決に強い意欲を示す、朴政権の外交成果といえる。今回の勧告の内容は、各国で報道され、事実を知らなかった人々に衝撃を与えているという。
▼元慰安婦ら性暴力被害者の救済をはじめとする、報告書の勧告を実現するには、それを日本の安倍晋三総理大臣に対する、さらなる圧力に変えていくしかない。自らも深刻な人権問題を抱える、日本の妨害をどのように封じるのか。これも、大きな課題だ。世界の外交力の真価が問われている。