「アジア女性基金」を拒絶したオランダ人女性
従軍慰安婦問題に関して、日本は「アジア女性基金」で補償もしているのに韓国は受け取らなかったのだから日本に責任はない、的な主張が徐々に増えています*1。
過去に首相が謝罪し、救済措置を取ったが韓国は飲まず政治問題化させた点を明確にする点が第一かと RT @haipa2000
http://togetter.com/li/639003
(略)政府の監督下で管理売春があったことは事実としてすでに認めているわけですよね。
韓国はともかく、他の国が納得するような主張はあるのでしょうか?
dragoner_JP 2014-03-05 20:41:07
馬鹿げたというよりゲスの主張ですね。韓国の被害者らに「アジア女性基金」を受け取らなかった人が多かったのは事実ですが、それを全て韓国の責任として押し付けることができると信じているのでしょう。
しかし残念ながら、これらの善意(註:アジア女性基金)は韓国で受け入れられなかった。被害者と「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)は、「基金」が慰安婦問題の法的責任と補償義務を回避しようとする日本政府の浅はかな策略だと非難し、拒否の意思を明らかにし、韓国政府も同じ立場を取った。韓国の被害者のうち、一部が「基金」の金銭的支援を受けたが、全体的に見て「基金」の事業が素直に受け入れられなかったことは間違いない。
http://www.huffingtonpost.jp/seiyoung-cho/japan-comfort-women_b_4909640.html
実際問題として、「アジア女性基金」という解決策が日本政府の法的責任を回避した妥協案であったことも否定できない事実であり、被害者側の感情として手放しで歓迎できるものでなかったわけです。
それを韓国が「政治問題化させた」とか認識する時点で、認知のゆがみがあります。
「アジア女性基金」を受け取らなかった元慰安婦は何も韓国人だけではありません。収容所から日本兵に強制連行され慰安所での売春を強要されたオランダ人元慰安婦の中にも「アジア女性基金」を拒絶した人たちがいます。
折られた花: 日本軍「慰安婦」とされたオランダ人女性たちの声
(2013年11月15日初版)『日本軍性奴隷制度の被害者』の封切り
(略)
このドキュメンタリー映画に登場した三人の女性のなかで、「アジア女性基金」の「生活改善事業」の支払金を断ったのはエレンだけだった。エレン自身も認めているように、受け取っていれば使い道もなくはなかったが、日本政府がしっかり公式に謝罪し、然るべき補償をする法律をつくって被害者に対処すべきだという信念を貫くことにしたのだ。「アジア女性基金」が各国の被害者に払おうとしたものは、償い金であれ生活改善事業基金であれ、あくまでも日本の道義的責任に基づいたものであり法的根拠を欠いているので受け取れないという、「対日道義補償請求財団」の立場にエレンも立っていた。また、彼女は「対日道義補償請求財団」が日本政府を相手に起していた訴訟にも加わっていた。「アジア女性基金」によって実施された生活改善事業に同意することは、エレンにしてみればこの訴訟の理由からしても不可能だった。しかし、たとえその訴訟に加わっていなかったとしても、エレンはその信念を貫いただろうと思う。エレンはとても意志の強い女性で、自分の意見はどこまでも守り通した。しかしエレンは、「アジア女性基金」からの支払金を最終的に受け取った女性たちの立場を理解するだけの余裕はもちあわせていた。そこは同志のジャン・ラフ=オハーン(同じ苦渋をなめたオランダ人でオーストラリアに住む女性)と違うところだった。
交渉当事者となる政府が考えるならともかく、人権問題に対して市民レベルで下らない“戦略的後退戦”ごっこを興じるのはいい加減にして欲しいものです。