台湾外交部による「両岸サービス貿易協議に関する争議の要点」と「台湾の学生らによる立法院(国会)議場占拠事件に関する説明」

以下、引用。

発信日時:2014/3/28

外交部:両岸サービス貿易協議に関する争議の要点

一、政府は学生および社会の人々が公共事務に関心を持つことを前向きに評価するものであるが、理性的、平和的、民主的な方法で意見を表明すべきであると呼びかける。政府はあらゆる意見の異なる人たちとも、民主的、理性的な方法での対話や意思疎通する用意がある。しかし、学生らが立法院(国会)の議場を占拠して直接対話を要求するような抗争については認めることはできない。学生らが「両岸サービス貿易協議の撤回」と「立法院での両岸協議監督条例の通過」を対話の前提条件とすることは、受け入れられるものではない。

二、わが国は民主主義、法治国家である。「両岸サービス貿易協議」はいま立法院で審議されている段階であり、その手続きが進められている途上にある。与野党会派および各界は意見が分かれているが、国会の自主的精神の下で、民主的、理性的な方法で、議事の正常な運営を取り戻すことができるようコンセンサスを達成すべきである。今回の「両岸サービス貿易協議」の争議は立法院の与野党会派の審議手続きに対する見解の違いが原因であることから、争議を解決する重要な鍵は、速やかに国会の運営を取り戻すことである。憲政秩序を守り、立法院内部の話し合いを通して、平和的に争議を落着させるべきである。立法院の審議結果については、総統または行政院長が主導するものではない。

三、「両岸サービス貿易協議」はブラックボックス(密室協議)などではない。「両岸サービス貿易協議」は2013年6月末に調印した後、これまで立法院は20回の公聴会を開き、経済部および行政院大陸委員会などの関連省庁は46業種および264名の企業リーダーとともに110回余りの説明会を開催し、関連省庁からも立法院に3回報告を行っている。

四、「両岸サービス貿易協議」は両岸間の「不平等条約」などではない。「両岸サービス貿易協議」における中国大陸が台湾に開放する項目は80項目であり、台湾が中国大陸に開放する項目は64項目に過ぎず、なおかつその多くは以前より実質的に開放されていたものである。中国大陸が台湾に開放する項目について、台湾は世界貿易機関WTO)加盟国を上回る待遇を勝ち取ったが、台湾が中国大陸に開放した項目はWTOの基準を超えていない。

五、「両岸サービス貿易協議」は中国大陸からの労働者を解禁するものではなく、現行の中国大陸からの移民管理規制政策に変化はない。「両岸サービス貿易協議」は、国民に1万2,000もの就業機会を創出し、台湾の国内総生産(GDP)および産業競争力を向上させ、台湾の自由化、国際化に寄与するものである。全体的に見て、マイナス面よりプラス面のほうが多いのみならず、今後の経済発展にもつながるものである。

六、「両岸サービス貿易協議」が通過・発効しない場合には、3つの大きな影響がある。

(1)台湾のサービス業が中国大陸市場に進出する機先を制することができなくなる。
(2)台湾が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などの地域経済統合に参加するタイムスケジュールに遅れが出る。
(3)「両岸経済協力枠組み協議」(ECFA)の枠組みの下で進めている「物品貿易協議」、「係争解決協議」などの交渉に影響が出て、台湾の対外貿易の発展が不利となる。

七、「両岸サービス貿易協議」反対派が抗議する内容が事実と異なる点について

(1)「1人の投資で45人の来台を申請できる」との流言について、
 中国大陸資本が投資する事業の投資金額が20万米ドル以上であれば、2人まで経営管理者の来台を申請することができる。投資金額が50万米ドルずつ増加するごとに来台人数を1人増やすことができ、最大で7人までとする。投資金額が330万米ドルを超える場合は、投資家本人のみが台湾で責任者となることしか認められない。1人の投資で45人もの来台申請ができるという事実はなく、完全なデマであり、社会をミスリードするものである。

(2)「中国大陸企業の幹部および家族の来台長期居留の開放」との流言について
 中国大陸資本の在台企業の幹部または技術者の来台申請は、原則的に1年目に1年間有効のマルチ出入国許可証が発給されるのみであり、2年目からは、会社の売上額が1,000万台湾元(約3,500万円)以上の場合に許可証更新申請ができる。中国大陸資本の投資家、幹部または技術者の来台については、政府は無期限に出入国許可証を延長せず、台湾での長期居留も開放していない。

(3)「両岸サービス貿易協議が大量の失業をもたらす」との流言について
 2014年1月末までに、政府はすでに中国大陸資本の来台投資計495件、投資金額計8.7億米ドルを承認したが、中国大陸資本の投資事業幹部または技術者およびその家族の来台人数はわずか264人であり、中国大陸資本の投資事業における台湾人従業員は9,624人に達している。このように中国大陸資本による来台投資は、台湾の産業および金融市場に資金を注入するのみならず、台湾の雇用機会も創出している。

【外交部 2014年3月24日】

http://www.roc-taiwan.org/JP/ct.asp?xItem=488369&ctNode=1453&mp=202

「七、「両岸サービス貿易協議」反対派が抗議する内容が事実と異なる点について」などを見ていると、以前の国籍法改正騒動と同じようなデマが流れているようです。



発信日時:2014/3/27

外交部:台湾の学生らによる立法院(国会)議場占拠事件に関する説明

一、中華民国(台湾)は民主主義、法治国家である。国民は自由と民主主義を享受する権利があると同時に、法を遵守する責任と義務を果たさなければならない。

二、わが国政府はここ数日間、「両岸サービス貿易協議」に反対する人々が立法院(国会)の議場を占拠する抗議行動に対して、理性的、平和的、民主的に、法に基づく方式で意思疎通および処理している。しかしながら、「両岸サービス貿易協議」に反対する群衆が行政院(内閣)庁舎に進入して占拠し、公共物を破壊し、国政運営を麻痺させるなど、非理性的、違法行為をはたらいた。行政院は中華民国における行政の中枢にあたる場所であることから、政府は社会秩序、公権力、国家全体の運営を維持するために、警察による強制排除を実施しなければならない。

三、わが国政府は、関連抗議団体に対し、このような衝突をエスカレートさせ、動乱を起こすようなやり方で国の社会秩序に影響を与えることをやめ、理性的、平和的、民主的に、法に基づく方式で協調し、意思疎通を続けていくよう呼びかける。

四、馬英九総統は国会の自主性を尊重するが、国家の安定のために、一日も早く正常に戻るべきである。総統および政府部門は引き続き出来る限りのさまざまな解決の道筋を探し、争議を速やかに落着させ、国会が一日も早く正常に運営されることを望んでいる。江宜樺・行政院長は、3月22日に立法院周辺で座り込み活動をしている学生および抗議団体を自ら訪ね、対話した。また、馬総統は3月25日に、前提条件を設けずに、学生代表を総統府に招き、両岸サービス貿易協議のテーマについて対話し、学生の意見に耳を傾け、現在の膠着状態を解決することを願っているとの考えを示した。

五、今回の「両岸サービス貿易協議」の争議は、立法院の与野党会派の審議手続きに関する見解の違いから起こったものであり、争議解決の重要な鍵は国会運営を速やかに回復させることである。憲政秩序を守り、立法院内部の話し合いを通して、平和的に争議を落着させるべきである。王金平・立法院長は3月24日および同25日に、2度にわたり与野党会派を集めて協議しており、現時点(3月26日)において引き続き協議を行っているところである。王院長は、話し合いを通して与野党が共同して争議の解決をはかり、理性的、平和的、民主的な方法で衝突を解くことへの期待を示した。

【外交部 2014年3月26日】

http://www.roc-taiwan.org/JP/ct.asp?xItem=487949&ctNode=1453&mp=202


「馬総統は3月25日に、前提条件を設けずに、学生代表を総統府に招き、両岸サービス貿易協議のテーマについて対話し、学生の意見に耳を傾け、現在の膠着状態を解決することを願っているとの考えを示した。」
この「前提条件を設けずに」は、安倍首相の常套句に似ていてちょっと笑えますが、安倍首相のように挑発行為とセットでない分、馬総統の方が誠実に思えます。