1941年から1945年までの日本陸軍海外兵力の推移と秦郁彦・藤岡信勝のデマについて

安倍政権に媚を売っている連中はデマを流しても訂正も謝罪もしませんね。
秦郁彦氏が以前ばらまいたデマを極右の藤岡信勝氏がデマを上乗せして拡散しています。

 教科書は、慰安婦の総数を「20万人」としつつ、「慰安婦が毎日20人〜30人の男性を相手にした」と書いている。そうすると、日本軍は毎日、400万回〜600万回の性的奉仕を調達したことになる。他方、相手となるべき日本陸軍の海外兵力は、最盛期の1943年で100万人であった。そこで、教科書に従えば、彼らは全員が「毎日4回〜6回」慰安所に通ったことになる。これでは戦闘準備をする時間はおろか、まともに生活する暇もなくなる。

1943年時点での日本陸軍兵力は290万人、そのうち内地・植民地に配備されていていたのは24%で約70万人、それ以外の約220万人は海外に配備されていました。内訳は南方に約90万人(32%)、満州に約60万人(21%)、中国に約70万人(23%)です。
藤岡氏は「日本陸軍の海外兵力は、最盛期の1943年で100万人」とか言ってますが、全くのデタラメです。

慰安婦否認論者ってこういう初歩的なデータを平気で改ざんして嘘をばらまいた揚句、史実派に対して曲解とこじつけでデマ扱いして謝罪を強要する傾向が強いんですよね。政権をバックにした悪質なクレーマーとしか言いようがありません。こういう嘘つきを客員教授として飼っているのが拓殖大学というわけで。

ちなみに日本陸軍兵力の推移は大体以下のような感じです。

南方  満州  中国  日本本土 総兵力 海外兵力
1941 15万(7) 70万(33) 67万(32) 57万(27) 210万  153万人
1942 50万(21) 69万(29) 69万(29) 50万(27) 238万  188万人
1943 93万(32) 61万(21) 67万(23) 70万(24) 290万  220万人
1944 164万(40) 45万(11) 82万(20) 123万(30) 410万  287万人
1945 166万(26) 77万(12) 122万(32) 275万(43) 640万  365万人

(カッコ内は%、人数は総兵力と%から導出し四捨五入して算出。海外兵力は総兵力から日本本土兵力を減算。日本本土は台湾・朝鮮を含む)
(「アジア・太平洋戦争―シリーズ日本近現代史〈6〉 (岩波新書)」 P95、(同書は大江志乃夫『支那事変大東亜戦争間動員概史』より))