日本軍性奴隷制度被害者に対する謝罪(日韓政府間合意に関して)

あの安倍でさえ、謝罪“する”*1のだから、日本国民としては「安倍首相だけに謝罪を押し付けて国民が逃げるわけにはいかない。我々も安倍首相に続こう」と思って当然でしょう。
美しい国”の国民がよもや、首相一人に謝罪を押し付け、自らには謝罪の義務なしと高みの見物を決め込むようなことはありますまい。
というわけで、一国民である私からも、元慰安婦らに対する謝罪と反省を表明したいと思います。

謝罪

旧日本軍・旧日本政府は、1930年代から1945年までの長期間にわたって、日本、台湾・朝鮮など日本の植民地であった地域、日本の傀儡政権の支配地域、及び侵略戦争によって得た占領地において、その支配下にあった女性に主として日本軍将兵に対する性的サービスを強制する従軍慰安婦制度を運用していました。恫喝あるいは欺罔あるいは他の選択肢を奪われることによる強要など強制的な手段によって集められ、家族や故郷から引き離された性的人身売買犠牲者すわなち性奴隷であることを強いられ、公式非公式の慰安所で、あるいは旧日本軍将兵による監禁下で数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負った元従軍慰安婦に、日本国民の一人として謝罪する。
得られるはずであった若い女性としての幸せを彼女らから奪い取った旧日本軍・旧日本政府の仕打ちについて謝罪する。
本来、旧日本政府あるいは旧日本軍に保護されるべきだった彼女らに対して行われた全ての不公正について謝罪する。
戦後も元従軍慰安婦の一人が名乗り出るまでの長い年月、日本社会が傷ついた彼女らに無関心であったことを謝罪する。名乗り出た後も20年以上にわたって、この国が彼女らに対して背信的であることを謝罪する。そして今なお、彼女らに対して正当で完全かつ無条件の謝罪を行える政府を抱くことが出来ない日本社会の未熟について謝罪する。
従軍慰安婦制度は紛れもなく旧大日本帝国の醜い歴史であり、同時に過去の悪魔から目をそらし続けるという恥ずべき行為をなした現日本国が直視すべき歴史である。
今般の日本政府による不完全かつ条件付きの謝罪で救済されない被害者らに対して、一人の市民として、過去の悪魔に全面的に向き合い、その醜さを語り続けなければならないと決意する。
いつの日か、旧大日本帝国下で彼女らに振るわれた犯罪行為、そして現日本国下で行われた不公正と無関心について、日本社会が正しく理解し、人間的感情の発露としての心からの謝罪が為されることを願い、そのために努力することを決意する。
最後に繰り返し、戦後70年を経てなお、慰安婦問題に対する日本社会の理解がこの問題について日本政府に完全かつ無条件の謝罪をさせることを当然とみなす程度に至っていないこと、そして日本社会の理解がそのレベルに達するまで、さらに数十年を費やさざるを得ないことを日本国民の一人として深く謝罪する。


本件合意とその周辺に関して言いたいことはいくつもありますが、とりあえず本記事では、本問題においても最も配慮されるべき元従軍慰安婦らに対する謝罪のみ表明しておきます*2

*1:“した”ではないよね。共同発表文は「安倍内閣総理大臣は,」「癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し,心からおわびと反省の気持ちを表明する。」とある以上、岸田外相の代読でも朴大統領への言伝でもなく、安倍首相から元慰安婦に対する謝罪があるはずですよね。

*2:なお、児童移民問題における英豪首相の謝罪を参考にしています。http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20130114/1358150083