日本社会は朝鮮半島での戦争勃発を願う産経病に罹っているのかもしれない

日韓対立に便乗、北朝鮮が狙う「冠のひも」戦術とは(2/3(日) 17:02配信 産経新聞)」の件。

 北朝鮮は昨年からの韓国や米国への対話攻勢以来、連日のように日本の安倍晋三政権を狙い撃ちした非難をメディアで繰り返している。韓国最高裁が昨年10月にいわゆる徴用工訴訟で日本企業に賠償を命じる判決を確定させてからは、日本に賠償に応じるよう圧迫し、韓国を援護射撃している。日韓対立に便乗するような態度だが、金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の祖父、金日成(イルソン)主席時代からの「日米韓離間策」を忠実に実践しているといえそうだ。(ソウル 桜井紀雄)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190203-00000516-san-kr

この部分は、産経の疑心暗鬼に過ぎませんね。「連日のように日本の安倍晋三政権を狙い撃ちした非難をメディアで繰り返している」というわりには出てくる事例が1月26日のものだけというのも何だかなぁ、という感じです。
北朝鮮メディアの対日関係報道は、何かあった場合に批判的な論評を出していますけど、結構無視していることも少なくない印象なんですけどね。

■「拉致主張は徴用工逃れ」

 「恥を感じるべきだ」。北朝鮮国営の朝鮮中央通信は1月26日、徴用工判決をめぐってこう題し「罪を犯したなら謝罪し、代価を支払うのは初歩的な道徳だ」と主張する論評を掲げた。
 「ところが、安倍一味と戦犯企業は過去の罪悪への反省など毛の先ほども持たず、泥棒の居直りの格好で『最終的かつ完全に解決された』だの、『国際司法裁判所への提訴といった強力な対応』だのとわめいている」と指摘。「卑劣な島国の俗物の破廉恥な妄動だ」と批判した。謝罪や賠償を避けようとすれば、国際社会の非難が高潮し、「『戦犯国』という恥ずべきレッテルが一層浮き彫りにされるだろう」と警告した。
 国営ラジオが1月に放送した記者の対談番組では、麻生太郎副総理兼財務相の曾祖父が九州で創業した炭鉱会社を持ち出し、「朝鮮人を徴用などの方法で強制連行・拉致し、危険な坑内で酷使した」と主張した。
 安倍首相が年頭に拉致問題解決に全力を尽くすと表明したことに対しては、朝鮮中央通信が論評で「安倍がわめく『拉致問題』なるものは既に久しい前に解決された」と抗弁した。
 徴用工問題などを念頭に「過去、日帝(日本帝国)がはたらいた朝鮮人拉致・強制連行蛮行は日本の最も代表的な拉致犯罪だ」と強調し、「安倍の妄言は『拉致問題』を口実として過去の犯罪を覆い隠し、その清算を回避しようとする破廉恥かつ卑劣な術策の表れ以外の何ものでもない」と非難した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190203-00000516-san-kr

この辺は北朝鮮側の指摘通りに思えてなりませんし。

■「1本切れれば韓国は崩れる」

 日本と北朝鮮は、2002年に当時の小泉純一郎首相と金正日(ジョンイル)総書記が署名した日朝平壌宣言で、日本の朝鮮半島統治に絡む両国と両国民の「財産および請求権を相互に放棄する基本原則」を確認し、国交正常化交渉で経済協力策を話し合うことで一致した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190203-00000516-san-kr

ここの日朝平壌宣言からの引用は産経のトリミング感が強いですね。
日朝平壌宣言での正式な文言は「双方は、国交正常化を実現するにあたっては、1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議することとした。」*1です。
あくまでも「国交正常化を実現するにあたって」請求権を互いに放棄するのを基本原則にしたというだけであって、国交正常化されていない現時点では当然に請求権は放棄されていません。産経の引用の仕方では、現時点で既に請求権が放棄されたようにも読めミスリードを誘っていると言われても仕方ないレベルです。

 日本と韓国が1965年に結んだ請求権協定にならった形だ。だが、韓国最高裁が元徴用工らの請求権を認め、日本企業に賠償を命じた結果、協定の根幹が揺らいだ。北朝鮮がその機に乗じ、将来の日本との交渉で「もっとカネをとれる」と踏んで揺さぶりをかけたとしても不思議ではない。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190203-00000516-san-kr

まあ、蔑視感情に起因する邪推としか言いようがないですね。

 ただ、思惑はそれだけにとどまらないようだ。金日成氏は72年に大学の卒業式の演説で、韓国と日米の関係を冠とそれを頭に固定するひもに例え、「南朝鮮(韓国)政権は米国、日本という2本のひものうち、一本だけでも切れると、冠が飛ばされるように崩れてしまう」と説いたとされる。この「冠のひも」戦術で日本か米国と韓国を離反させられたときを「赤化統一」の好機とみたのだ。
 3代目の金正恩氏にとって徴用工判決に続く、韓国海軍の駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題をめぐる日韓対立は、棚からぼた餅式のチャンスといえ、黙って見過ごすわけはないだろう。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190203-00000516-san-kr

1972年に金日成が言ったというセリフを根拠に現在の情勢を語るのはあまりにもずれていますね。1972年といったらまだ北朝鮮経済の方が韓国経済よりもやや優位な時期*2で、今のような圧倒的な経済格差ではありませんでした。
それを知っていたら金正恩が「黙って見過ごすわけはないだろう」などという観測は出てこないでしょう。

旭日旗でも南北共闘

 韓国・済州島(チェジュド)での昨年10月の国際監艦式で、韓国側が海自に旭日旗の掲揚自粛を求め、海自が艦艇派遣を見送った問題でも、北朝鮮の国営ラジオは1月、記者の対談で安倍政権を糾弾した。
 「安倍一味は憲法改正を強行し、日本を戦争のできる国にして自衛隊に海外侵略の翼を付けようとしている」と牽制(けんせい)し、自衛隊旭日旗をはためかせて「朝鮮半島などを侵略する道に突入するのは時間の問題だ」とあおり立てた。旭日旗と「戦争のできる国」を結び付けるという韓国で横行するステレオタイプの批判に同調し、「わが民族の対日敵愾(てきがい)心を増大させるだけだ」と南北共闘の姿勢を誇示した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190203-00000516-san-kr

旭日旗大日本帝国時代の軍旗をそのまま使っているんですから、非侵略国からそう言われることくらいは当たり前でしょう。ところで産経が引用している部分だけだと1月の国営ラジオが2018年10月の国際観艦式での旭日旗問題に言及したとまでは読めないのですがね。10月の話題を1月に報じるのも違和感ありますし、実際どうだったんでしょうね。

 トランプ米政権と非核化協議を維持する中でも、金正恩政権は、米韓離間策を怠っていない。対韓国向け宣伝サイトなどで「誰かの顔色をうかがうな」と、米韓合同軍事演習の完全中止や南北経済協力事業の再開を韓国に繰り返し要求。「外部勢力はわが民族がうまくいくのを願っておらず、対立を激化させて漁夫の利を得ようと画策している」と米国などとの引き離しにかかった。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190203-00000516-san-kr

米韓離間とか言う以前に北朝鮮は核実験・ミサイル実験を停止しているんですから米韓側に対応する措置として軍事演習を求めているに過ぎないんじゃないですかね。一方的に北朝鮮側が譲歩しないと気が済まないという産経回路はどうかと思います。

 トランプ政権が在韓米軍の駐留費の負担引き上げを韓国に求め、協議が難航している問題でも、党機関紙、労働新聞は論説で「南朝鮮を友邦ではなく、欲を満たすための対象とみなす米国の下心をはっきりと示している」と批判した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190203-00000516-san-kr

この辺は離間策と取れなくはありませんね。もっとも在韓米軍撤退の要求とも取れるわけで必ずしも米韓離間策とも解釈できませんけど。

 韓国内でも文在寅ムン・ジェイン)大統領が北朝鮮との融和に前のめりになる裏で、レーダー照射問題などで日韓対立が深まることを懸念する声がある。
 韓国紙、朝鮮日報の電子版によると、インターネット上には「日本の哨戒機が艦艇に接近飛行するのが韓国の安全保障に脅威を与えることだろうか」と疑問視する意見が書き込まれた。「韓国の頭上に浮かぶ北朝鮮の核という脅威は、文政権の記憶の中から消えてしまった。これでいいのか」
 金正恩氏の非核化意志を弁護し続ける文氏には、少なくとも北朝鮮による日韓離間策で政権が崩れるという危機意識はないはずだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190203-00000516-san-kr

韓国内で文政権の対北朝鮮外交を懸念する声と言ったら、当然のように朝鮮日報が出てくるのはある意味様式美ですね。野党・自由韓国党寄りの保守系紙である朝鮮日報はもともと文政権に批判的で北朝鮮に対しても強硬な対応を求めるようなところですから、文政権を批判したい日本メディアにとっては使いやすいことでしょう。
それでも産経が引用しているのが、朝鮮日報記事ですらなく「インターネット上」に書き込まれた「意見」だという体たらく。

日本人の平和ボケを示しているのが、こういった文政権批判で、北朝鮮は危険だ危険だと煽り立てる行為とセットになっています。

ですが、核実験やミサイル実験が頻繁に行われ、米軍による攻撃が近いのではと言われ続けた2017年までの状況に比べて、2018年は核実験もミサイル実験は一度も行なわれず、米朝首脳会談が実現するなど、南北の緊張状態は著しく改善しています。戦争反対・平和主義という原則から言えば歓迎すべきことのはずですが、日本人にとっては朝鮮半島が一触即発の危険な状態であってほしいのか、ひたすら北朝鮮との交渉を価値ないものと軽視し、北朝鮮によって韓国が併合されるなどとのデマを飛ばし、朝鮮半島が統一したら日本にとってのリスクだと煽りてて、再び朝鮮半島核兵器を用いた戦争の危機が生じることを願っているかのような言動ばかり流しています。

和を以て貴しとなす民族?嘘つけって感じですね。




日韓対立に便乗、北朝鮮が狙う「冠のひも」戦術とは

2/3(日) 17:02配信 産経新聞
 北朝鮮は昨年からの韓国や米国への対話攻勢以来、連日のように日本の安倍晋三政権を狙い撃ちした非難をメディアで繰り返している。韓国最高裁が昨年10月にいわゆる徴用工訴訟で日本企業に賠償を命じる判決を確定させてからは、日本に賠償に応じるよう圧迫し、韓国を援護射撃している。日韓対立に便乗するような態度だが、金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の祖父、金日成(イルソン)主席時代からの「日米韓離間策」を忠実に実践しているといえそうだ。(ソウル 桜井紀雄)

■「拉致主張は徴用工逃れ」

 「恥を感じるべきだ」。北朝鮮国営の朝鮮中央通信は1月26日、徴用工判決をめぐってこう題し「罪を犯したなら謝罪し、代価を支払うのは初歩的な道徳だ」と主張する論評を掲げた。
 「ところが、安倍一味と戦犯企業は過去の罪悪への反省など毛の先ほども持たず、泥棒の居直りの格好で『最終的かつ完全に解決された』だの、『国際司法裁判所への提訴といった強力な対応』だのとわめいている」と指摘。「卑劣な島国の俗物の破廉恥な妄動だ」と批判した。謝罪や賠償を避けようとすれば、国際社会の非難が高潮し、「『戦犯国』という恥ずべきレッテルが一層浮き彫りにされるだろう」と警告した。
 国営ラジオが1月に放送した記者の対談番組では、麻生太郎副総理兼財務相の曾祖父が九州で創業した炭鉱会社を持ち出し、「朝鮮人を徴用などの方法で強制連行・拉致し、危険な坑内で酷使した」と主張した。
 安倍首相が年頭に拉致問題解決に全力を尽くすと表明したことに対しては、朝鮮中央通信が論評で「安倍がわめく『拉致問題』なるものは既に久しい前に解決された」と抗弁した。
 徴用工問題などを念頭に「過去、日帝(日本帝国)がはたらいた朝鮮人拉致・強制連行蛮行は日本の最も代表的な拉致犯罪だ」と強調し、「安倍の妄言は『拉致問題』を口実として過去の犯罪を覆い隠し、その清算を回避しようとする破廉恥かつ卑劣な術策の表れ以外の何ものでもない」と非難した。

■「1本切れれば韓国は崩れる」

 日本と北朝鮮は、2002年に当時の小泉純一郎首相と金正日(ジョンイル)総書記が署名した日朝平壌宣言で、日本の朝鮮半島統治に絡む両国と両国民の「財産および請求権を相互に放棄する基本原則」を確認し、国交正常化交渉で経済協力策を話し合うことで一致した。
 日本と韓国が1965年に結んだ請求権協定にならった形だ。だが、韓国最高裁が元徴用工らの請求権を認め、日本企業に賠償を命じた結果、協定の根幹が揺らいだ。北朝鮮がその機に乗じ、将来の日本との交渉で「もっとカネをとれる」と踏んで揺さぶりをかけたとしても不思議ではない。
 ただ、思惑はそれだけにとどまらないようだ。金日成氏は72年に大学の卒業式の演説で、韓国と日米の関係を冠とそれを頭に固定するひもに例え、「南朝鮮(韓国)政権は米国、日本という2本のひものうち、一本だけでも切れると、冠が飛ばされるように崩れてしまう」と説いたとされる。この「冠のひも」戦術で日本か米国と韓国を離反させられたときを「赤化統一」の好機とみたのだ。
 3代目の金正恩氏にとって徴用工判決に続く、韓国海軍の駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題をめぐる日韓対立は、棚からぼた餅式のチャンスといえ、黙って見過ごすわけはないだろう。

旭日旗でも南北共闘

 韓国・済州島(チェジュド)での昨年10月の国際監艦式で、韓国側が海自に旭日旗の掲揚自粛を求め、海自が艦艇派遣を見送った問題でも、北朝鮮の国営ラジオは1月、記者の対談で安倍政権を糾弾した。
 「安倍一味は憲法改正を強行し、日本を戦争のできる国にして自衛隊に海外侵略の翼を付けようとしている」と牽制(けんせい)し、自衛隊旭日旗をはためかせて「朝鮮半島などを侵略する道に突入するのは時間の問題だ」とあおり立てた。旭日旗と「戦争のできる国」を結び付けるという韓国で横行するステレオタイプの批判に同調し、「わが民族の対日敵愾(てきがい)心を増大させるだけだ」と南北共闘の姿勢を誇示した。
 トランプ米政権と非核化協議を維持する中でも、金正恩政権は、米韓離間策を怠っていない。対韓国向け宣伝サイトなどで「誰かの顔色をうかがうな」と、米韓合同軍事演習の完全中止や南北経済協力事業の再開を韓国に繰り返し要求。「外部勢力はわが民族がうまくいくのを願っておらず、対立を激化させて漁夫の利を得ようと画策している」と米国などとの引き離しにかかった。
 トランプ政権が在韓米軍の駐留費の負担引き上げを韓国に求め、協議が難航している問題でも、党機関紙、労働新聞は論説で「南朝鮮を友邦ではなく、欲を満たすための対象とみなす米国の下心をはっきりと示している」と批判した。
 韓国内でも文在寅ムン・ジェイン)大統領が北朝鮮との融和に前のめりになる裏で、レーダー照射問題などで日韓対立が深まることを懸念する声がある。
 韓国紙、朝鮮日報の電子版によると、インターネット上には「日本の哨戒機が艦艇に接近飛行するのが韓国の安全保障に脅威を与えることだろうか」と疑問視する意見が書き込まれた。「韓国の頭上に浮かぶ北朝鮮の核という脅威は、文政権の記憶の中から消えてしまった。これでいいのか」
 金正恩氏の非核化意志を弁護し続ける文氏には、少なくとも北朝鮮による日韓離間策で政権が崩れるという危機意識はないはずだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190203-00000516-san-kr