報告受けて“善処せよ”くらいは言ったんじゃないの?

この件。
習氏「1月7日に肺炎対応要求」→「何を指示?」と話題(北京=冨名腰隆 2020年2月16日 6時00分)

普通に考えれば「中国政府の専門家グループが新型コロナウイルスを検出したのは、1月7日」ということから、少なくとも武漢で流行している肺炎が新型コロナウイルスによるものであること程度は習近平主席に報告されているでしょうし、報告されれば、“善処せよ”とか“万全の措置を”とかくらいは言ったでしょう。
その程度は安倍首相だって言えますから、習主席だってその程度の“指示”はしたんじゃないですかね。

実質的・具体的な指示が、1月7日の時点でできたとは思えませんから、その意味で「何を指示?」と批判するのは正しいでしょうが、遠藤誉氏のように「習近平「1月7日に感染対策指示」は虚偽か」とはしゃぐのはどうかと思います。

ところで、朝日記事は「演説内容が事実とすれば、指導部も早期に状況を把握していたことになる」とか言ってます。

 中国政府の専門家グループが新型コロナウイルスを検出したのは、1月7日。2日後、国営新華社通信などを通じて発表された。
 1月7日には政治局常務委員会議が開かれていた。当時の報道に新型肺炎への指示はなかったが、求是に掲載された習氏の演説によると、「新型コロナウイルスの感染防止を要求した」という。習指導部はこれまで、感染源となった湖北省政府の初動の遅れを問題視しているが、演説内容が事実とすれば、指導部も早期に状況を把握していたことになる。(北京=冨名腰隆)

https://www.asahi.com/articles/ASN2H7GZPN2HUHBI01N.html

ただ、1月7日って「早期」ですかね?

その前日、1月6日には日本の厚労省がこんな発表をしていますよ。

中華人民共和国湖北省武漢市における原因不明肺炎の発生について

 中華人民共和国湖北省武漢市において、昨年12月以降、原因となる病原体が特定されていない肺炎の発生が複数報告されています。現時点での状況及び厚生労働省の対応について、お知らせいたします。

1.患者の発生状況など(令和2年1月5日時点。国立感染症研究所まとめ)
・発生数:59例の確定例(うち7例は重症)。死亡例なし。59例の発症日は2019年12月12日-29日の間。
・感染経路:不明。ヒト-ヒト感染の明らかな証拠はない。また、医療従事者における感染例も確認されていない。
・発生場所の疫学的な特徴:海鮮市場(華南海鮮城)と関連した症例が多い。当該海鮮市場は、野生動物を販売している区画もある。現在は閉鎖中。
・類似疾患の可能性:インフルエンザ、鳥インフルエンザアデノウイルス重症急性呼吸器症候群SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)は否定されている。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08767.html

中華人民共和国湖北省武漢市における非定型肺炎の集団発生に係る注意喚起について

少なくとも、この程度の状況を1月7日時点で中国政府が把握しているのは当たり前であって、「指導部も早期に状況を把握していたことになる」という朝日記事の記載はどうかと思いますね。