そこは特に批判すべきところではないと思うが

この件。
緊急事態宣言、「事前報告」で立憲など妥協 特措法案(3/12(木) 6:00配信 朝日新聞デジタル)

立憲民主党がこの法改正に賛成したことに対して、安倍政権に批判的な層から立憲民主党を批判する声が出ています。
それもまあ理解できなくはないのですが、この法改正に賛同しないという選択肢は、旧民主党系の政党にはまずありませんので、その批判には同調できません。

理由の一つは、この法改正の対象となる新型インフルエンザ等対策特別措置法民主党政権時代に成立した法律だという点です。問題視されている緊急事態宣言に関する条文もこの新型インフルエンザ等対策特措法に既に存在しています。民主党政権当時にその緊急事態宣言を含めて成立させた法律であるのに、COVID-19を含める法改正似対して緊急事態宣言条文を理由に反対するのは筋が通りません。
また、理由の二つ目は、立憲民主党は政府のCOVID-19対応の当初より、COVID-19を新感染症として感染症法・検疫法・新型インフルエンザ等対策特措法が適用できると主張していたはずです(その点は私も同意見です)。それはつまり現行法のままでも緊急事態宣言ができるという解釈に他なりませんので、その意味でも緊急事態宣言されかねないから法改正反対というロジックがとれないということになります。

安倍政権は自らの法律の適用遅れの責任を回避するために現行法では対応できないと強弁しているにすぎません。
要するに安倍首相が愚図って駄々をこねているために新型インフルエンザ等対策特措法に関わる措置がCOVID-19に一切適用できず、ゆえに日本の感染症対応が遅れて日本国民に被害が及ぶ以上、旧民主党系の野党としては、国民に被害が及ばないように安倍首相をあやさざるをえないわけです。

その意味では、立憲民主党や国民民主党が取れる対応は、あくまで現行法で適用可能だから法改正には応じないという姿勢を貫くか、現行法で適用可能だが国民に被害を与えないために譲歩して法改正に協力するしかありません。世論を踏まえれば、後者を選択するしかないでしょう。

もちろん、もともと新型インフルエンザ等対策特措法成立時から反対していた政党であれば、今回の法改正にも反対して当然で筋が通っています。共産党などは当時から緊急事態条項を批判していたはずですから、今回も反対しているのは当然の展開でしかありません。

しかし、旧民主党系は緊急事態条項を理由とした反対はできませんから、そこで野党の判断が割れるのも当然で、それ自体を深刻にみる必要もないと思います。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、首相による「緊急事態宣言」を可能とする法案が11日、衆院内閣委員会で可決された」という表現もどうかなと思いますね。

緊急事態宣言は民主党政権時代に作った法律に既に含まれていたもので、今回新たに安倍政権にその権限を許容したというわけではないですからねぇ。