これに関しては山尾志桜里議員の論理の方が矛盾していると思う

この件。
山尾志桜里が造反理由を独白「党の方針と折り合えなかった」〈週刊朝日〉(3/18(水) 8:00配信 AERA dot.)

まあ、新型インフルエンザ特措法の危険性についての指摘という点では同意できる点も多いのですが。

 改正特措法で緊急事態が宣言されると、住民の外出自粛こそ要請ですが、学校や保育園、老人ホームなど施設の使用制限や禁止、イベント・催事の中止などを指示できることになっています。人権が著しく制限される懸念があるのです。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200317-00000028-sasahi-pol

ただ、上記のような言い方ですと、まるで改正前の特措法には人権制限の懸念が無かったかのように読めてしまいます。
今回の法改正は既存の新型インフルエンザ特措法の対象にCOVID-19を2年間の期限付きで明示的に追加しただけで、緊急事態関連の規定は以前から存在しています。

そこで気になるのは山尾議員は、2012年3月の新型インフルエンザ特措法成立の採決の際に反対したのかどうかという点です。共産党などは委員会採決の際に明確に反対していますが*1衆院本会議での採決の時、山尾議員は衆議院議員だったはずですが、起立せずに反対したのでしょうか?(起立多数で採決されていたので、個々の議員の賛否が不明*2

いずれにせよ、山尾議員の論理に沿うとCOVID-19の追加に反対するだけではなく、改正前の新型インフルエンザ特措法に対しても反対(または緊急事態条項部分の改正を主張)しなければおかしいです。
山尾議員がCOVID-19の適用についてだけ反対しているのなら、ともかく以下の部分を見るとそうではないことがわかります。

 期間は2年が上限で、その後1年ごとに延長でき、回数に制限もない。いったん宣言が発令されると、いつまでも戒厳令のような状態が続く可能性がある。市民から「長すぎる」「禁止が厳しすぎる」などの疑念や不満が出ても反対集会ができない恐れもある。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200317-00000028-sasahi-pol

今回の法改正は附則に、法の対象にCOVID-19を追加するというもので、その期限は最大2年と明記され延長の規定はありません。新たに法改正しない限り、施行から2年後にはCOVID-19は法の対象外となり、緊急事態に関する規定もCOVID-19に対しては無効になります。

新型コロナウイルス感染症に関する特例)
第一条の二 新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。第三項において同じ。)については、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律(令和二年法律第四号。同項において「改正法」という。)の施行の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、第二条第一号に規定する新型インフルエンザ等とみなして、この法律及びこの法律に基づく命令(告示を含む。)の規定を適用する。
(略)

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=424AC0000000031#L

ですから、少なくともCOVID-19に関して安倍政権が緊急事態宣言を出しても、本法改正施行から2年を超えて緊急事態を延長させれば、それは違法行為となります。
すると、山尾議員の主張の対象は、本法改正以前の新型インフルエンザ特措法であると考える以外にありません。

ただ、それは民主党政権下で提出された提出時法律案に既に存在していた規定ですから、立憲民主党としてか、あるいは衆院議員山尾志桜里として*3、同法に対する見解を明確にして、今後法改正を求めるということでなければ筋は通りませんね。