米韓通貨スワップ協定に関する件
2008年の金融危機以来の米韓通貨スワップ協定(Temporary U.S. dollar liquidity arrangements)が2020年3月19日に締結され、資金供給が始まっています。
Federal Reserve announces the establishment of temporary U.S. dollar liquidity arrangements with other central banks
期限は6か月で、韓国以外に、オーストラリア、ブラジル、デンマーク、メキシコ、ノルウェーが米国と同じ協定を結んでいます。
日本では“韓国は米国から警戒・敵視されている”みたいな俗説が流布されていますが、日本以外でそんな俗説が通用するはずもなく、3月15日のFRBの声明からもわかる通り、COVID-19の蔓延による経済への影響を懸念して対応しているわけですね。そもそもFRBは日銀も含めたイギリス、EU、カナダ、スイス銀行と連名で協調行動をとることを発表しているので、日本の嫌韓バカ以外はそんなこと当然のこととして理解しているわけですが。
ちなみに2008年の金融危機でも韓国は米韓通貨スワップ協定に基づき資金供給を受けていますが、日本からは資金供給を受けていません。もちろん、米国から供給された資金は期限通り2009年12月にすべて返済しています。
限度額は2008年には300億ドルでしたが、今回は600億ドルとなっています。
入札日 | 入札額 | 応札額 | 決済日 |
---|---|---|---|
3月31日 | 120億ドル | 87億2000万ドル | 4月2日 |
4月 7日 | 85億ドル | 44億1500万ドル | 4月9日 |
4月14日 | 40億ドル | 20億2500万ドル | 4月17日 |
4月21日 | 40億ドル | 21億1900万ドル | 4月23日 |
4月27日 | 40億ドル | 12億6400万ドル | 4月29日 |
5月 6日 | 40億ドル | - | - |
入札額に対して応札額が少ないのはドルの資金需要が少ないことを意味しますから、限度額や供給額がかなり余裕を持った設定になっているということになります。
落札した分を見るとこんな感じです。
決済日 | 落札額 | 金利 | 満期日 |
---|---|---|---|
4月 2日 | 8億ドル | 0.5% | 4月 9日 |
4月 2日 | 79億2000万ドル | 0.9% | 6月25日 |
4月 9日 | 2億7500万ドル | 0.4% | 4月17日 |
4月 9日 | 41億4000万ドル | 0.5% | 7月 2日 |
4月17日 | 1000万ドル | 0.3% | 4月23日 |
4月17日 | 20億1500万ドル | 0.3% | 7月 9日 |
4月23日 | 21億1900万ドル | 0.3% | 7月16日 |
4月29日 | 12億6400万ドル | 0.3% | 7月23日 |
“韓国は借金を踏み倒すに違いない”的な嫌韓バカの主張もあるでしょうから、2020年4月30日時点までの残高を見てみましょう。それまでに4月9日、4月17日、4月23日に満期日があります。
日付 | 残高 | 備考 |
---|---|---|
4月 2日 | 87億2000万ドル | - |
4月 3日 | 87億2000万ドル | - |
4月 6日 | 87億2000万ドル | - |
4月 7日 | 87億2000万ドル | - |
4月 8日 | 87億2000万ドル | - |
4月 9日 | 123億3500万ドル | 返済8億ドル、新規44億1500万ドル |
4月10日 | 123億3500万ドル | - |
4月13日 | 123億3500万ドル | - |
4月14日 | 123億3500万ドル | - |
4月15日 | 123億3500万ドル | - |
4月16日 | 123億3500万ドル | - |
4月17日 | 140億8500万ドル | 返済2億7500万ドル、新規20億2500万ドル |
4月20日 | 140億8500万ドル | - |
4月21日 | 140億8500万ドル | - |
4月22日 | 140億8500万ドル | - |
4月23日 | 161億9400万ドル | 返済1000万ドル、新規21億1900万ドル |
4月24日 | 161億9400万ドル | - |
4月27日 | 161億9400万ドル | - |
4月28日 | 161億9400万ドル | - |
4月29日 | 174億5800万ドル | 新規12億6400万ドル |
4月30日 | 174億5800万ドル | - |
見てのとおり、韓国は予定通りに返済しています。4月27日までの資金供給分の次の満期日は6月25日ですね。
ちなみに「【借金175億ドル】韓国銀行は「通貨スワップ」利用の利息を「27億円」支払うことになります。」とはしゃいでいる人もいますが、4月30日時点で日本銀行がFRBから「借金」している額は、2203億3400万ドルで韓国の10倍以上ですから、利息ももっと多いんですが、なぜか韓国のことだけが気になるようです*1。
韓米通貨スワップ資金、40億ドル供給=5回目の入札を実施
米FRBと通貨スワップ協定の韓国中銀 来週にもドル調達
*1:そもそも「【借金175億ドル】韓国銀行は「通貨スワップ」利用の利息を「27億円」支払うことになります。」で書かれている利息計算も間違ってるんですけどね。「「84日」満期で年利「0.9080%」ですから、「0.9080% ÷ 365日」で1日当たりの利率を計算し、これに84(日)を掛けたものが「84日借りた場合の利率」になります」とか複利を理解していないように思われますが・・・。いやFRBが単利を採用しているなら間違ってはいませんけど。