試験紙

例えば「小沢」を「汚沢」に変えて揶揄する表現は、標的とされた当の小沢氏に対する侮辱・侮蔑であると同時に、全く無関係の別の小沢氏に対して差別的な言質となります。自分と同じ姓を「汚沢」などと書かれて気分を害する人もいるでしょうし、学校などでのいじめの材料になる可能性もありますね*1
「ハシシタ」表現と程度の差はあれど、いずれも差別的な要素を含みます。

id:kanose 差別
「ハシシタ」の名称が部落差別と結びついている訳で、侮蔑表現の話とは違う 2012/11/30

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/scopedog/20121122/1353597037

kanose氏は「ハシシタ」表現は許されず「汚沢」表現は許されるとお考えのようですが、それは私とはボーダーラインの引き方が違うだけだと考えています。それに「汚沢」表現には差別的な要素が一切含まれない、とまでは考えていないと思うのですがどうでしょうか。
まあ、あくまで「汚沢」表現は侮蔑表現に過ぎず、差別ではないから問題ないとお考えかも知れませんけど、それはそれで「試験紙」的には面白い結果かなぁと思います。


ちなみに、差別表現であれ侮蔑表現であれ、当人にとっては重大な人権侵害である事実には変わりありません。
なので元記事では、「橋下氏本人が家族について書くな、と主張する事自体は正当」とか「そのような要望は配慮されてしかるべき」とか「記事の是非については、裁判を通して争っても良かった」とか書いたのですが、そんなことよりも、私が週刊朝日記事を差別と認識したか否か、だけを重視し、それを判定する「試験紙」しか持ち合わせていない人が多かったようですね。
個人的には、色んな種類の「試験紙」を準備しておくことをお勧めしたいです。唯一絶対の真理を測る魔法の試験紙など存在しませんから。

*1:似たような事例として、ロッキード事件の際に同姓同名の田中角栄氏がいじめられ、家庭裁判所が改名を認めた事件があります。(昭和58年3月30日 神戸家裁豊岡支部決定)