「民主党が憲法9条改正へ素案 集団的自衛権を明文化」
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まあ、自民党との対立軸を打ち出そうとする狙いは理解できますし、対案を掲げる姿勢は誠実とも言えるかもしれません。
しかし、これで自民党が自案をごり押ししてきても、護憲側に戻ることも共闘することも極めて困難になったと言えるでしょうね。
私自身、以前「護憲勢力は第二防衛線を準備すべきかも」という記事で安倍改憲に対抗する手段として対案について書きましたが、あくまで「こういったことは共産党や社民党のような護憲政党が公式に語るわけにもいきませんので*1、関係のない私が無責任に話した」*1ものに過ぎません。民間の論者や団体が対案を出すことと公党が示す場合では重さが全く異なります。
枝野素案が安倍改憲の暴走を食い止めようとする意図を持ったものであろうとは思えなくもありませんが、公党としては対案の形式ではなく、せいぜい守るべき一線の定義とそれに対する自民案の問題点の指摘に留めるべきでした。対案のような形式は、民主党に好意的な民間の論者や団体に提示させれば良かったと言えます。実際、自民党は長く産経新聞に代弁させてきたわけで、極右的な主張も民間のフィルターを通すことで責任を回避してきたのですから。まあ、自民党には産経新聞のように私物化できる事実上の機関紙が存在するのに対し、民主党にそういうのがないのでその点不利ではありますが*2。
安倍政権が改憲から多少遠のいたかな、と思っていましたが、解釈改憲の失敗*3、五輪招致の成功、そしてこの民主改憲案でまた安倍改憲のリスクが高まってきたようです。この上、民主党が崩壊して改憲野党が誕生すれば詰みかな、と個人的には思っています。
護憲派にとっての味方は現状では、時間のみでしょう。おそらく避けられない消費増税時点で安倍政権の勢いは減少し、少なくとも改憲をごり押しできる状況ではなくなるでしょうから、実施的にはあと3ヵ月ほどが山場だと思います。
もっとも、もしそれまで改憲を回避しえたとしても、その後も解釈改憲の圧力はむしろ強まるでしょうし、様々な問題があるでしょうが、改憲問題一点に絞ればそれまでの辛抱かなと思っています。