「きれいなヘイト」を定義するならば

普通に丁寧な言葉遣いで、ネガティブな表現・言葉を使わずに、ネガティブな文意を作り出すヘイトスピーチの手法、とでも言えるでしょうか。
意図的にやる人もいますし、無意識でやってる人もいるでしょうね。

簡単な事例として挙げるなら、こんなの。

海外で日本人に対して、
「君は日本人にしては良い奴だなぁ!」

これ表面的には誉められているわけですが、素直に喜べますかね?
多分、釈然としない思いを感じるのが普通だと思います。だって、この言葉の背景には日本人に対する低評価が横たわってるわけですからね。しかし、これに反論するのも難しく、「日本人を低評価しないでほしい」と言えば、「俺はお前を誉めてるのに何怒ってるんだ。」に「これだから日本人は!」とか付けて返されるかもしれません。「他の日本人が悪い奴らみたいに聞こえるから、その言い方はやめてくれないか」と言えば、「俺は他の日本人のことなんか言ってない。お前の考えすぎだ。」とかわされるかもしれません。
そもそも言外に日本人に対する低評価が感じ取れるため、自分まで低評価されないように言葉を濁して曖昧にしてしまうのが、その場をやり過ごす一番良い方法ということになるでしょう。

ところで、木村幹氏の「河野談話はどこで「連合国の戦後処理」を含む問題へとすり替わったのか――従軍慰安婦と河野談話をめぐるABC」という記事は、ネガティブな表現・言葉を使わずに、朝鮮人慰安婦らに対するネガティブな文意を作り出すもので、まさに「きれいなヘイト」だと思いますよ。

具体的な指摘内容については、1年前の記事などを参照してください。
「とりあえず“責任の所在を曖昧にしておけば”どうにかなるだろう」から始まった(木村幹氏の記事の問題点)
河野談話はどこで“強制連行の有無”の問題へとすり替わったのか・1(木村幹氏の記事の問題点)
河野談話はどこで“強制連行の有無”の問題へとすり替わったのか・2(木村幹氏の記事の問題点)
木村幹氏の記事の問題点・要約
あなたは正直者ですね。この「きれいなヘイト」を差し上げましょう。


そう言えば、私は木村氏にこんな風に批判されましたけど。

Kan Kimura (on DL)
‏@kankimura 某コラム続き。このコラムの特徴は「外交」を見ていないこと。加藤談話の後、韓国政府は「強制連行」の認定を執拗に求めてきている。また、当時の日韓両国の新聞もこの点について繰り返し論じている。史料を見ないで歴史について論じるのは無意味。http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20140410/1397061581

https://twitter.com/kankimura/status/454161028025040896

私の記事のどの部分が「「外交」を見ていない」のかについては、碌な説明が無かったですね。そもそも「「外交」を見ていない」ってどういうことなんですかね。少なくともネガティブな文意だと感じますけど。

ちなみに加藤談話の直後に韓国政府が出した報告書では、慰安婦募集の方法として奴隷狩りのような形態以外に(詐術あるいは威圧的雰囲気による方法)や(事実上動員の方法)について言及されており、これらを含めて韓国外務部亜洲局長が「慰安婦は強制的か、それに近い形で集められました。」と発言し、それは当時テレビで報道されていました。*1 *2
「史料を見ないで歴史について論じるのは無意味」とおっしゃってる木村氏は当然それをご存じのはずなのになぁ。