赤石晋一郎氏名義でこんな記事が出ていました。
「「韓国民に謝罪しろ」「水曜集会はやめろ」有名元慰安婦の告発で大混乱の現場を取材した(5/14(木) 17:30配信 文春オンライン)」
内容はさておき(いや内容はひどいものですが・・・)、こういう記述があります。
私は拙著 「韓国人、韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち」 で崔氏に取材した経緯があり、顔見知りでもあった。挺対協ら市民団体に支配された歴史問題を、被害者の手に取り戻したいという思いを何度も聞いてきた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b13856e82ce75dc69e85c93c97d85124c5cea2cc
李容洙氏会見の黒幕説は本当なのか。大使館前で崔氏に話を聞いた。
赤石氏は「韓国人、韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち」の著者ですが、上記の文脈で読む限り、赤石氏が直接「大使館前で崔氏に話を聞いた」としか読めません。つまり、5月13日に赤石氏は韓国の日本大使館前にいたか、少なくとも李容洙氏会見の5月7日以降に韓国にいたことになります。
これを疑問に思った徐台教氏がこんなツイートをしています。
文春オンラインで昨日13日の水曜集会ルポを書いている赤石晋一郎氏。へー韓国にいるんだと思って見てたら、どうやらGWまで日本にいたよう。もしその間ソウルに来て取材したら自宅隔離2週間守ってないし、日本にいるならルポや文中の表現はまずいと思う。気になったので。間違ってたら修正します。 pic.twitter.com/Rn5zncldNt
— 徐台教(ソ・テギョ, 서태교) (@DaegyoSeo) 2020年5月14日
赤石氏は5月1日時点で日本にいるとツイートしており、その後に渡韓したのであれば、入国後14日間の隔離を守っていないことになるという指摘です。
それに対する文春の最初の回答がこれ。
ご指摘ありがとうございます。取材は著者と現地記者による特別取材班で行い、その旨記事に追記いたしました。誤解を招く表現で失礼いたしました。(文春オンライン編集部)
— 文春オンライン (@bunshun_online) 2020年5月14日
文春は「取材は著者と現地記者による特別取材班で行い、その旨記事に追記いたしました。誤解を招く表現で失礼いたしました。」とツイートし、実際に記事末尾に次の一文を追加しています。
※新型コロナ対応のため、取材は著者の赤石晋一郎氏と現地記者による特別取材班で行いました。読者より「誤解を招く表現がある」との指摘を受けましたので、お詫びして訂正申し上げます。2020/05/14/21:20
https://news.yahoo.co.jp/articles/b13856e82ce75dc69e85c93c97d85124c5cea2cc
しかしこの訂正では、赤石氏が現地に行ったのかどうかが不明瞭です。
そのため、徐氏は再度次のツイートをしています。
ご返信ありがとうございます。少し分かりづらいのですが、赤石さんは水曜集会の現地にいらっしゃったということですよね?現場で赤石さんを見かけた記者もいますが...。明確な説明をお願いします。記者倫理にかかわる出来事です。特に日本系記者の信頼とかかわる重要な部分なのでお願いします。 https://t.co/qExZjImRfE
— 徐台教(ソ・テギョ, 서태교) (@DaegyoSeo) 2020年5月14日
「少し分かりづらいのですが、赤石さんは水曜集会の現地にいらっしゃったということですよね?現場で赤石さんを見かけた記者もいますが...。明確な説明をお願いします。」
それに対する文春の回答がこれ。
赤石晋一郎氏が日本で周辺取材を、現地班が現地で当日の様子の取材を担当しています。赤石氏は日本外務省方針に従い渡航を自粛しており、当日現地におりません。(文春オンライン編集部)
— 文春オンライン (@bunshun_online) 2020年5月14日
「赤石晋一郎氏が日本で周辺取材を、現地班が現地で当日の様子の取材を担当しています。赤石氏は日本外務省方針に従い渡航を自粛しており、当日現地におりません。」ということで、では「現場で赤石さんを見かけた記者もいます」という話はどうなったかというと・・・
丁寧なご説明ありがとうございます。見かけたという方も勘違いだったようですね。誤解を与えてしまいました。この部分は訂正いたします。 https://t.co/W4oqROO8b7
— 徐台教(ソ・テギョ, 서태교) (@DaegyoSeo) 2020年5月14日
徐氏は「見かけたという方も勘違いだったようですね」と訂正しています。
これに対して赤石氏もツイートして、現地取材はしていない、と明言しています。
現地取材に行けないのはもどかしいですが、現在は日本外務省方針に従って韓国への渡航を自粛しております。今回は、現地班の取材にかなり助けられました。早く自由に取材し、往来出来る日が来るのを待ちたいと思います。大変お騒がせしました。 https://t.co/LhXqwBimwx
— 赤石晋一郎/ジャーナリスト (@red0101a) 2020年5月14日
まあ、赤石氏と文春が虚偽を述べている可能性もありますが、現地の写真に写っているなど明確な証拠でも出てこない限り証明できるものでもないでしょう。
ただ、だとしたら記事中の以下の表現はやはり読者を誤解させるものであり不適切としか言いようがありません。
(再掲)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b13856e82ce75dc69e85c93c97d85124c5cea2cc
私は拙著 「韓国人、韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち」 で崔氏に取材した経緯があり、顔見知りでもあった。挺対協ら市民団体に支配された歴史問題を、被害者の手に取り戻したいという思いを何度も聞いてきた。
李容洙氏会見の黒幕説は本当なのか。大使館前で崔氏に話を聞いた。
普通に読めば、赤石氏が「大使館前で崔氏に話を聞いた」としか読めません。
しばらくすると挺対協の水曜集会がスタートした。疑惑の渦中ということもあって、100人近くの韓国メディアが周囲を取り囲む。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b13856e82ce75dc69e85c93c97d85124c5cea2cc
新型コロナウイルス対策のため、中学生や高校生、大学生の動員はされず、集会はオンラインで生中継されることになった。
大使館前には挺対協の主要メンバーや与党議員が顔を揃えていた。尹美香氏は姿を表さなかった。
水曜集会で音楽に合わせてダンスが始まった。韓国では選挙でもデモでも歌や踊りが定番となっている。傍らには日本政府を糾弾する「公式謝罪」、「法的賠償」という日本語のプラカードが掲げられていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b13856e82ce75dc69e85c93c97d85124c5cea2cc
これも伝聞である旨の記載が一切なく、赤石氏が直接見聞きしたとしか読めない文章です。
そもそも文春の説明通り「現地班が現地で当日の様子の取材を担当して」いるのであれば、現地取材を担当した記者の名前も併記すべきでしょう。まるで全て赤石氏が取材したかのような文章で赤石氏の名前のみ書かれているのは、他人の取材内容を横取りしたようにも読めてしまいます。
「赤石晋一郎氏が日本で周辺取材を、現地班が現地で当日の様子の取材を担当しています。赤石氏は日本外務省方針に従い渡航を自粛しており、当日現地におりません。」という情報を記事に追記するのではなく、徐氏あてのツイートだけで済ませるのはおかしいと思います。