もちろん傷害事件を起こしたこと自体は否定できませんし、非難されるべきではありますが、公判に付されている容疑である監禁・強姦については推定無罪の原則が生きていますので、これを無視するわけにもいきません。
http://mainichi.jp/articles/20161118/k00/00m/040/079000c傷害容疑 公判中、強姦被害者の女性に襲いかかる 山形
毎日新聞2016年11月17日 20時22分(最終更新 11月17日 22時01分)
監禁や強姦(ごうかん)などの罪に問われた男が、山形地裁鶴岡支部(山形県鶴岡市)での自身の公判中、証人尋問を受けていた被害者の女性に襲いかかりけがをさせる事件があり、県警酒田署は17日、被告の男を傷害容疑で逮捕した。
逮捕されたのは、住居不定の無職、石川志信容疑者(40)。逮捕容疑は11日午後4時15分ごろ、同支部の法廷で40代女性の首から下あご付近を右腕で絞めつけ、左手で前髪をわしづかみにするなどして、約2週間のけがをさせたとしている。
同署などによると、被告や傍聴席から見えないように、女性の背後と左右の3方向には高さ1.8メートルのついたてが立てられていた。被告は手錠や腰ひもを外された状態で両脇には刑務官が座っていたが、女性が尋問に答えていた際に突然叫び声を上げて、ついたての脇から女性に向かっていったという。すぐに刑務官と同署員に取り押さえられた。
山形刑務所の調査に刑務官は「被告が急に立ち上がり、止めようとしたが間に合わなかった」と話している。山形地裁の林正彦所長は「法廷内で証人が被告から加害行為を受けたことは大変遺憾。このような事案が再び起こることがないように適切に対応したい」とのコメントを出した。
起訴状などによると、石川被告は今年5月、女性を脅して乗用車の車内に監禁し、酒田市から富山県高岡市まで連れ回し、暴行するなどしたとしている。【松尾知典、藤井達也】
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仮に監禁・強姦が事実無根で同意の上での行為であった場合、少なくとも被告がそのように主張している場合、被害者の証言は自らを陥れようとしている理不尽なものと認識されておかしくなく、その場合、被告が暴挙に出る動機としては充分といえます。実際容疑事実からすれば、判決を左右する決定的な証拠は被害者の証言のみという可能性は少なくないでしょう。まあ、公判での有罪率が圧倒的に高い日本の法廷でしかも裁判所の心証を最悪にする事件を起こしたわけですから、まず有罪確実でしょうけど。
基本的に判決確定するまでは推定無罪の原則を適用すべきで、性暴力だけは例外というのはちょっとよろしくないと思います。