医療

なぜ国際機関が国境封鎖に消極的なのかという話

なんか“WHOは中国の言いなり”的な論調があちこちで見受けられますので、初歩的な話を一つ。小松志朗准教授の「世界政府の感染症対策 ―人の移動をめぐる国境のジレンマ―」から。 このようにWHOと安保理という2つの主要な国際機構は、どちらも国境を閉ざすこと…

「国際交通及び取引に対する不要な阻害を回避し、公衆衛生リスクに応じて、それに限定した方法」というのがWHOの基本方針

この件。 新型肺炎 中国の国連大使「過剰反応、避けるべきだ」 WHO緊急事態宣言に懸念 1/31(金) 12:23配信 毎日新聞 新型コロナウイルスによる肺炎をめぐり、世界保健機関(WHO)が「緊急事態宣言」を出したことを受け、中国の張軍国連大使は30日、米ニュー…

あまり意味がないと思うが・・・

この件。 「感染者の移動歴、どこまで公表? 新型肺炎で割れる判断(1/30(木) 21:15配信 朝日新聞デジタル)」「大阪市湾岸部の「ベイエリア」や「大阪城エリア」に滞在していたなどと明らかに」とか言われても同日同エリアにいた人数は膨大で、その人たちが…

政令を迅速に発していたら法律的には強制的に検体採取できたと思うのだが・・・

この件。 ウイルス検査「法的拘束力ない」と首相 1/30(木) 10:08配信 共同通信 安倍首相は帰国した2人がウイルス検査を拒否したことに関し「法的な拘束力はない。人権の問題もあり、踏み込めないところもある」と説明した。 https://headlines.yahoo.co.jp/h…

事件報道で出てきたら注意するべき疾患名・SBSとPTSD

この件。 「自分が冤罪被害とは」事故1年後に逮捕の母 乳幼児揺さぶられ症候群(毎日新聞2019年1月20日 19時30分(最終更新 1月20日 23時36分))乳幼児揺さぶられ症候群(Shaken Baby Syndrome)については冤罪を懸念すべき点がありましたので、「「揺さぶら…

「当時全会一致で成立した法律を、今になって違憲だったとはいえない」なんか理由にならない

旧優生保護法に関わる国家賠償訴訟で、政府に対して違憲性の見解を示すよう地裁から求められたものの政府が拒否した件。 旧優生保護法の違憲性、国は見解示さぬ方針 強制不妊 2018年7月23日05時05分 旧優生保護法により不妊手術を強制されたのは違憲だなどと…

補足的な話

臨床薬理学会がTBSに出した苦情に関連して。この中にこう書かれています。 治験にかかわるものたちが驚愕したのが、患者さんへの負担軽減費300万円というものです。負担軽減費は治験に参加することによって生じる種々の損失をなんとか補おうという趣旨で始ま…

治験参加時の注意点

「「治験なんて絶対するもんじゃない。」に関する雑感」に関連して。 治験に参加する際には、治験責任医師らから治験に関する説明を受け、同意文書に署名することになっています。 このあたりは「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令 (平成九年三月二…

「治験なんて絶対するもんじゃない。」に関する雑感

治験なんて絶対するもんじゃない。の件。 これ実際は連絡してきたスタッフの対応が悪かった程度の話で、増田が尾ひれをつけた感が強い気がします。治験に関して事実部分に相当するのは以下の部分だけです。 どうやら、自分の試験結果におかしなところがあっ…

治験参加者には治験薬名と薬効は知らされます。

「【闇】薬局にて「僕が治験参加したけど…」これに続く言葉が強すぎた!」の件。 とっかかりのツイートの内容は確かに真偽怪しいんですけど、それに対するコメントが色々とあれなのでちょっと指摘。治験に参加する被験者には、ちゃんと情報が提供されなけれ…

措置入院とその周辺の話題

この件。 「逮捕の男 ことし2月に措置入院 12日後に退院(7月26日 16時27分)」 「相模原殺傷、退院後フォローなし 措置入院のあり方は(2016年7月27日11時12分)」 「<相模原19人刺殺>植松容疑者、措置入院後「12日」で退院…どう考えるべき?(2016年0…

鳥越氏に対して年齢や病気にするデマを交えた誹謗中傷が広まっているのが今の日本のレベル

いずれもアゴラ。 まず、池田信夫。 野党は人命より党利党略が大事なのか --- 池田 信夫(アゴラ 7月19日(火)16時40分配信 ) 大腸癌の手術は2005年、肝臓癌は2009年ということになる。ステージ4というのは末期癌である。その後3ヶ所に転移したのであれば、…

「病院か自宅かによって生存期間に違いがあるか」の記事について少し気になった件。

論文を読んでないので、記事だけの感想。 「自宅で最期を迎えたがん患者は、病院で最期を迎えた患者と比べ、生存期間にほとんど差がないか、自宅のほうがやや長い傾向があるとする研究結果」とあるので、主旨としてはどちらがいいというものではないと思いま…

低線量放射線の健康影響はわかっていない、という話

私は“低線量放射線と健康被害の関連はわかっていない”というスタンスです。 確証はありませんが、関連があったとしても重大なリスクとは言えないであろう、とは思ってます。もちろん、これに関してはデータに基づくものではなく第三者の個人的な心象に過ぎま…

dabbut氏が示す「低線量放射線と鼻血に因果関係がない事を示すデータ」(仮)

前座 id:dabbut氏から以下のようなコメントがありました。 「ある」派と「ない」派だと、「ある」派に証拠提出義務があるのに、 「あるかもしれない」といってれば、提出義務を相手に求められるんですか? なかなか面白いですね。 自分では「あるかもしれな…

じゃあ「低線量放射線と鼻血に因果関係がない事を示すデータ」を示してくださいよ

「低線量放射線と鼻血に因果関係がない」と断言している人の根拠って何ですかね? Aという曝露に対して、Bという症状が起こるかを統計的に調べる場合、A曝露群とA非曝露群の2群で症状B発現率の違いを調べるわけです。この際に用いるのが仮説検定で、「曝露A…

一応、双葉町役場の方も弁護しておきます

例の騒動の前後関係がだいぶ明らかになったようです。 双葉町の健康福祉課では、取材に対し、町が岡山大などに調査を依頼し、調査結果の報告も受けたことは認めた。報告を受けたのは、現職の伊澤史朗町長のときになってからだが、なぜ美味しんぼ側に抗議した…

悪魔の証明ガー

以下の記述に関してはしゃぐ人がわらわらと・・・。 「美味しんぼ」一時休載へ 「表現のあり方を今一度見直す」と編集部見解 産経新聞 5月16日(金)23時30分配信 (略) 一方で、岡山大の津田敏秀教授(疫学、環境医学)は「チェルノブイリでも福島でも鼻血の…

このブコメのひどさときたら

「双葉町等を対象にした疫学調査の中間報告で鼻血等が有為に増加」の記事の件ですが、ここで紹介されている中地重晴氏の記事は「双葉町等を対象にした疫学調査の中間報告」を参照して紹介しているものであって、中地記事に全ての情報が載ってないのは当たり…

「モラ夫」という表現

以前モラハラの記事を書いた頃から、モラハラ関係のサイトや書籍も見るようになったのですが、どうにも目につくのが、「モラ夫」という表現。 まるでモラハラに関しては、男が必ず加害者で女が必ず被害者であるかのような表現であって、差別的な表現だなあと…

モラハラの見分け方?

以前の記事についた興味深いコメント。 被害経験あり 2013/02/01 15:16 本当のモラハラかどうかを見分ける方法は簡単です。被害者が、加害者からフェードアウトできるかどうか、です。本当のモラハラ被害者であれば、加害者から離れることで、救われます。 …

父のこと

このブログでは特に私自身の個人的な話はしてこなかったのですが、直近の出来事に思うところがありましたので少しだけ書いておきます。私の父は1937年3月の生まれで、戦争中は食べ物がなくサツマイモばかりだったそうです。父の父、つまり私の祖父は放蕩者で…

公表データを報道するのなら、ちゃんと読み方も報道すべきと思う

この記事です。 がん生存率:治療開始後5年、最大33ポイント差−−国公立28専門病院 2012年10月23日 全国の国公立のがん専門病院でつくる「全国がん(成人病)センター協議会」(全がん協、31施設加盟)は23日付で、01〜03年に加盟施設の患者だっ…

「モラハラ加害者の特徴」なるものの使用法、あるいは使用時の留意点

古い話題ですが、アップする機会がなかったので今さらながらアップ。 モラハラ加害者にありがちなこと。 ・加害者は対外的には「真面目」「誠実」「優しい」などと思われており本人もそう自負している。 ・対外的には、加害者は被害者を認めており好意的に見…

無知と無理解による医療関係デマ

こういう記事がありました。 エイズ治療の飲み薬で感染も予防できた 2011/7/28 18:06 国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)は2011年7月13日、エイズ治療用の飲み薬の服用でエイズウイルス (HIV)感染が6割から7割予防できることが明らかになっ…

医療のイロハも知らないのは山形氏の方です。

医療のイロハも知らない長妻氏/山形浩生(評論家兼業サラリーマン) http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20101020-00000001-voice-pol と言う記事で、厚労省研究班が補完代替医療の有効事例を集めて検証することを揶揄しているのだが、これがあまり…

火病について・事前準備的な話

韓国・中央日報の記事(2007/11/12) 韓国語の記事「火病とFコード」(http://healthcare.joins.com/master/healthmaster_article_view.asp?contCode=011000&total_id=2945064)を翻訳したものとして、以下の投稿が翌2007年11月13日に掲示板になされた。 【…